感心した被害女性の言葉

「B子さんの背中にはソースのような液体がべったりとついていました。食べ物をこぼしてつくようなところではないし、ソースで汚れた場所に寄りかかることもありえない。誰かにかけられたのでは、と考えました」(同)

斎藤容疑者は写真左側の角に立ち、B子さんの様子をうかがっていた
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 ソースといっても、サラッとしたウスターソース、粘り気のあるとんかつソースなどさまざまある。B子さんにかけられたソースは、

「触った感じはちょっとベタベタしていました。独特の甘辛い香りがして、これはお好み焼き用のソースかもしれないと思いました」(同)

 液体は振り袖の肩甲骨あたりから帯、足袋まで広範囲に滴っていた。

 当時、店内はヘアセット・着付けの順番を待つ新成人でごった返していたが、手の空いたスタッフが協力してB子さんの着物や帯を洗ったという。

「だって、晴れの日にあんまりじゃないですか。スタッフだけで洗おうとしたところ、B子さんは“私もやります”と率先して手伝い、テキパキと働くんです。泣いたり、怒ったりせず、明るく振る舞うしっかりしたお嬢さんでした」(同)

 洗った振り袖は、ドライヤーで乾かしたという。

 さらに、スタッフたちを感心させたのはB子さんが事件について語った言葉だった。

「犯人に対して“かわいそうですね。こんなことでしかストレス解消できなくて”と話したんです。ひどい目に遭ったのに本当に立派ですよ」(同)

 式典が始まる前までに、どうにか汚れを落とすことができた。濃い緑色の着物だったため、残ったシミも目立たなかった。

 翌日、B子さんの母親が美容室にあらためてお礼と報告に訪れた。B子さんは式典後の同窓会も振り袖で参加できたという。

 この美容室の顧客にはもう1人被害者がいた。B子さんの事件から約1時間後、C子さんが成人式会場の近くで被害に遭った。

「“ソースの落とし方を教えてほしい”と電話がありました。式典直前だったため、洗ったりほかの着物を用意することはできず、口頭で染み抜きの方法を伝えるくらいしかできませんでした」(前出・同)

 C子さんの振り袖は黄色っぽい明るい色。応急処置だけではソースの色は目立つ。その後、C子さんからの連絡はなかったという。