患者・予備群ともに各1000万人といわれる糖尿病。メタボ体形の男性をイメージする人は珍しくないが、患者の男女比にさほど大きな開きはない。むしろ、オーバー40の女性が気をつけたい国民病といえる。

40代以降の糖尿病が怖いワケ

「女性ホルモンの一種であるエストロゲンには、血糖値を上げにくくする働きがあります。ところが、閉経してエストロゲンの分泌量が落ちると、血糖値が上がりやすくなるのです」

 こう語るのは、糖尿病をはじめ生活習慣病の専門外来を設ける『まごめ内科・腎クリニック』院長の井上禎子医師だ。

 糖尿病とは、血糖値が慢性的に高くなる病気のこと。自己免疫機能の異常で起こる1型糖尿病と、生活習慣の影響が大きい2型糖尿病の2つに分けられる。

「高血糖状態が続くと目や神経、腎臓など血管の細い臓器が損傷を受け、そのダメージはじわじわと全身に広がり、大病を引き起こします」(井上先生、以下同)

 そもそも身体には、すい臓からインスリンというホルモンを分泌して血糖値を下げる機能が備わっている。ところが、日本人は体質的にその能力が弱い。

「食生活の欧米化によって、われわれ日本人も脂質を多くとるようになりましたが、脂質を食べ続けてきた欧米人ほどインスリンを出す力が強くありません」

 初期には自覚症状がないことも多いが、やがて細い血管だけでなく冠動脈や脳血管、大動脈などの大きな血管にも影響が及び、表のような合併症を引き起こす。

 さらに糖尿病は、高血圧とも深い関わりがある。

「高血糖が続いて血管が硬くなると、血液中のプラークという油状のカスが付着し血管が細くなります。すると心臓は血液を送り出すため、圧を強めるのです」

 高血圧が進行すると、脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めてしまう。

 睡眠不足や過労も糖尿病につながりやすい。帝京大学大学院公衆衛生学研究科の調査では、残業が月45時間を超え、睡眠が十分にとれていない人は糖尿病になりやすいおそれがあると指摘している。働く女性は増え、いまや半数以上が共働き。加えて、40~50代女性の睡眠時間は世界でも群を抜いて短い……。

「女性の多くが家族優先で、ご自分のことは二の次、三の次になっています。発見が遅れて重症化しやすい」