3月20日、ホテルを出てアリーナへ向かう宇野昌磨
【写真】3月20日、ホテルを出てアリーナへ向かう田中刑事と宇野昌磨

そういう関係は最近まで続いていて、平昌五輪のときも宇野くんは羽生くんについて“今は絶対に無理だけど、追いかけられる目標がいるということがすごくうれしい”と話していました。ライバルと言うには畏れ多いと考えていたんです」(同・スケート連盟関係者)

 宇野は'17年に雑誌『Number』のインタビューで、羽生への思いを語っている。

《羽生結弦選手には『勝ちたい』と思うし、ほかの選手には『負けたくない』と思います。羽生選手は特別で、やはり憧れてますし、尊敬してます。(略)僕が全然持っていない色々なモノを持っている、すごく上の存在だから》

 長らく“楽しむ”という意識だった宇野の姿勢に変化が現れたのは、2月の四大陸選手権を迎えたころ。優勝後のインタビューで宇野は、羽生への挑戦を連想させるような、これまでにない意欲を語っていた。

「楽しむと緊張もしないし、いい方向に向きやすい。でも“楽しむ”って挑戦する側だからこそできる。いつまでも追いかけているだけじゃなく、追われるっていうのを考えつつ、“やるぞ”というところで“やる”選手になりたい」

 勝負への強い執念を見せるようになったことを、羽生は誰よりも喜んでいた。

羽生選手はずっと孤独でした。実力がずば抜けていて国内では“神”のような存在。でも彼は、追い込まれてこそ燃えるタイプ。ライバルがいたほうが成長できるのです。だから、宇野選手の実力が追いついてきたことが、本当にうれしいんだと思いますよ」(スポーツライター)

 また、宇野の意識が変わった背景には、トレーナーの出水慎一氏の言葉もあったらしい。

「四大陸選手権が終わったあと、“昌磨には世界選手権で1位を取ってもらいたい。その方針で今年1年やりたいと思っていた”と言われたそうです。それで、1位を取るのは自分のためだけではなく周りの人のためにもなるんだということに気づいたんです」(同・スポーツライター)

 もちろん、羽生も簡単にトップの座を譲るつもりはない。王者のプライドをかけて、会見ではストレートに勝利への意欲を表現していた。