療養中の雅子さまにとって、「オランダ」と「トンガ」への2回の海外訪問は、いい影響を与えたと友納さんは話す。

雅子さまのご静養を兼ねて、ベアトリクス女王がご一家をオランダに招待(’06年8月)
雅子さまのご静養を兼ねて、ベアトリクス女王がご一家をオランダに招待(’06年8月)
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「どちらの外国訪問も、同行して取材しました。'06年のオランダ訪問は、ベアトリクス女王の招待を受け、雅子さまの療養も兼ねて行かれました。当時の雅子さまは、日本にいると、どうしても緊張なさる部分があったので、マスコミをシャットアウトした静かな環境が用意されたことは、とてもよかったと思います。

 朝は湖畔でご散策、昼間はレストランや動物園、広大で見事な植物園に行かれたり、プライベートが保たれる環境だったのです」

 '15年のトンガご訪問では、現地での歓迎ぶりが印象的だったという。

「国王の戴冠式に出席されたのですが、トンガの晴れ渡る天気と明るい人々からの声援は、マスコミの批判が続く日本とは対照的で“これはいいな”と感じましたね。

 現地の方だけではなく、教会で日本人もいるオーケストラの演奏が披露されるなど、すごい歓迎ぶりでした。

 日程の最後には、両陛下で海岸の岩山に足を運ばれましたが、とても仲むつまじいご様子だったといいます。短い時間でもプライベートが保たれた貴重な思い出となったのではないでしょうか」

 雅子さまが療養に入られてから15年が経過した現在、お出ましの機会が格段に増え、ご体調がV字回復されたといわれている。

 ご病気の雅子さまを常に支え、ここまで回復された功労者は間違いなく陛下の存在があったから。

「陛下は、ご結婚されてからずっと雅子さまをお守りしてきました。'99年に雅子さまが『稽留流産』されてしまったときも、寄り添われてご心配をされていたといいます。

 療養に入られてからも、陛下は“絶対に自分が治すんだ”という気迫がすごかったと聞いています。また陛下は“ことば”を大事にされています。頻繁に御用地の中を散策され、会話というコミュニケーションを大切にされてきたといいます。同時に雅子さまも会話を大事にされており、おふたりは強い信頼関係で結ばれていると思います。

 それは親子の間でも引き継がれているようで、陛下がパソコンや資料室で調べものをされているときには、愛子さまがのぞかれて会話につながっているそうです。陛下がいらっしゃったから、雅子さまもご回復に向かわれてきたのだと感じますね」

『令和』を迎えて新皇后になられた雅子さまだが、上皇后の美智子さまへの尊敬の念はとにかくお強いそうだ。

「陛下ももちろんですが、雅子さまは上皇后美智子さまを本当に尊敬されています。

 上皇后美智子さまから何かアドバイスをいただいたり、何かをほめてもらうことがあれば大変なことだそうです。

 療養中に乗馬をすすめてくださったり、お食事会でも気を遣われてくださったことも、うれしかったそうですが、2年ほど前には“ゆっくり、焦らずにやっていきましょう”と助言をいただいたことがあったそうですよ」

昨年5月の日本赤十字社全国大会では、美智子さまが次期名誉総裁となる雅子さまを紹介されるようなシーンがあり、盛大な拍手が(日本赤十字社提供)
昨年5月の日本赤十字社全国大会では、美智子さまが次期名誉総裁となる雅子さまを紹介されるようなシーンがあり、盛大な拍手が(日本赤十字社提供)

 外務省にお勤めになっていた雅子さまはたびたび“皇室外交”が悲願だと言われ続けているが、友納さんによると、今後はさらに国際親善のご活動に重きを置かれるとともに、次世代の活動を奨励されていくという。

「今後は国際親善の幅を広げられて、国内においては若者の将来につながるご視察や、慰問が増えるのではないかと思います。

 療養に入られる前、とある児童施設の子どもたちと交流されたときには、涙を流されていたことがありました。

 現在も小児リハビリセンターへの慰問をはじめ、若者の作文コンクールや被災地の中高生が参加した教育復興プロジェクト『OECD東北スクール』の活動を応援されています。

 上皇・上皇后両陛下が築かれた公務を引き継がれながら、お年寄りから若者の希望につながるご活動を重視されていくのではないでしょうか」