「靴下探し大会」が開催

 私は長距離移動する前は、いろんなアイテムや、付録が付いている子ども用雑誌や子どもが食いつくおまけ付きお菓子やジュースを特別にそれぞれラッピングして「お楽しみ袋」を作って持っていった。新幹線が走り出したら袋を開けるところから楽しませて時間をかせいだりと工夫したよ、功を成したよ、おすすめだよ。 

 もし急な移動で、そんなに準備ができないにしろ、子どもが飽きたらデッキに連れ出して静かに探検したり、乗ってからお昼寝しやすいように乗る前にとにかく身体を使って遊びまくって疲れさせてから乗ったりと、何かできることはあるはずやん! 

 一番あかんのはそのまったく悪びれ感がない態度や! 子どもに敵意がいったら嫌じゃないのか? 嘘でも親が「ダメだよ、静かにしようね」「迷惑になるから」と注意して、周りに「すみません」と会釈でもしてくれたら、「いえいえ大変ですね」と思ってくれるかもしれない。でも、それどころかまったく子どもを見もせずに、ふてぶてしい態度でスマホばっかり見てたらこっちの気持ちも収まらんわ。子どものことも、周りのお客さんのことも、何も考えずに乗ってきたから今こうなってるねんーーー!

 結局、名古屋までの1時間半、大騒ぎの声と親の怒鳴り声が交互に車内に響きわたり続け、この心の声のみでお送りする説教だけがレッチリとともに私の頭の中をリピート。最終的には子どもがギャーギャー言いながら脱いで投げた靴下が、私の方に飛んできたと思ったら行方不明になり、そのまま六人と私で靴下探し大会に発展。

 何をしとんじゃー、と思いながらも靴下探し。結局、私の足元の死角に落ちていた小さな小さな靴下。拾ってわたすと、おじいちゃんとおばあちゃんはお礼を言ってくれましたが、お母さんは子どもに靴下を履かせながらこちらを振り返っただけで、会釈もありませんでした。

 小さな靴下の持ち主は、「くちした、あったー!」と、まだ短い手をバンザイしながら、私にニコニコしてくれました。なんだか泣きそうになりました。

 子どもさまには罪はない。大人さん、もう少しがんばりましょう。

 もちろん、子ども連れは本当に大変。優しい心で見守る社会になってほしいし自分もそうでありたい。

 知らない人同士が長時間一緒の空間にいる新幹線や飛行機でのマナー、お互いが気持ちよく過ごせるために、それぞれが気をつけることができたらいいですね。


プロフィール

野々村友紀子(ののむら・ゆきこ)                      1974年8月5日生まれ。大阪府出身。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属の芸人、2丁拳銃・修士の嫁。 芸人として活動後、放送作家へ転身。現在はバラエティ番組の企画構成に加え、 吉本総合芸能学院(NSC)の講師、アニメやゲームのシナリオ制作など多方面で活躍中。著書に『あの頃の自分にガツンと言いたい』『強く生きていくために あなたに伝えたいこと』(ともに産業編集センター)『パパになった旦那よ、ママの本音を聞け!』(赤ちゃんとママ社)がある。