番組の企画でも「若者」にフォーカスしたものが多く見受けられ、例えば「嵐×高校生ブラスバンド甲子園」では高校野球にちなみ、吹奏楽の応援合戦を披露し、登場した3校とともに嵐が『Guts』を熱唱した。

 また、夏休みの小学生301人とイモトアヤコが長縄跳びのギネスに挑戦し、ギネス記録の12回以上を跳ぶことに成功し、会場から大歓声が送られた。

 それ以外にも、空手、パラテコンドー、テニス、卓球、BMX、スケートボード、新体操の選手たちがアートとスポーツを融合させた「スポーツアートパフォーマンス」のコーナーでは、嵐の相葉雅紀が参加し、映像と音、光がシンクロした圧巻のパフォーマンスを披露した。「みんなすごくないですか!? 本当に完璧にやりきってくれました! みんな最高だった」と感極まった様子であった。

個人視聴率からみえる若者へのリーチ

 今回の『24時間テレビ』は平均視聴率と募金額だけでなく、個人視聴率においても成功を物語っている。

 現在、『イッテQ!』の視聴率を上回っていると話題のバラエティー番組『ポツンと一軒家』(テレビ朝日系)。日本各地の人里離れた一軒家で暮らす人を追うという企画が人気を博しているが、『イッテQ!』と比べるとシニア層の人気が高い。

 例えば、昨年12月16日の『イッテQ!』とポツンとの視聴率を比較してみると、『イッテQ!』は若者~中年層まで幅広く二ケタの視聴率に達しているのに対し、ポツンとではM4(65歳以上の男性)、F4(65歳以上の女性)が15%以上で、若者の視聴率は『イッテQ!』の1/10というでデータがある。(参照 “日8戦争”2019年の行方は? 家族が見る「イッテQ!」VS年配層の「ポツンと一軒家」)

 さらに、今年の『24時間テレビ』が若者にリーチできたという興味深いデータがある。

 関東で2000世帯5000人以上の視聴率を測定しているスイッチ・メディア・ラボのデータで個人視聴率は上昇傾向にあるという。

『24時間テレビ』の視聴率の動向
引用:『24時間テレビ』批判への疑問~背景にあるのは世帯から個人重視の姿勢~(鈴木祐司)
『24時間テレビ』の視聴率の動向
引用:『24時間テレビ』批判への疑問~背景にあるのは世帯から個人重視の姿勢~(鈴木祐司)
【写真】メインパーソナリティーの嵐のオフショットなど

 特にC層(4~12歳の男女)・1層(20~34歳の男女)は直近5年で最高値。T層(13~19歳の男女)が2位。他番組では3層(50代以上の男女)が高い傾向が顕著にでているが、今年の24時間テレビは数字上、若者の個人視聴率が高いことが証明された。(引用『24時間テレビ』批判への疑問~背景にあるのは世帯から個人重視の姿勢~(鈴木祐司))

 ツイッター上では《24時間は何かを知るきっかけにはなるんだよ、私ら若者にとっては嵐やイッテQの番組に関わることによって、番組を見るし、それがきっかけで日本の現状がわかる》、《イッテQメンバーの絆が…内村さん!!!!!あさこさんお疲れ様! 駅伝メンバーの皆さんお疲れ様!!今までの24時間で1番感動した》、《正直、24時間テレビはあまり見ないんだけど イッテQ遠泳部の子達のチャレンジには なんか、とても感動した》などと嵐やイッテQメンバーの頑張りを称える声があった。

 今年の『24時間テレビ』は未来を担う若者にしっかりと評価された番組作りに成功し、ともに新たな時代へ向かう道しるべとなったといえるだろう。

奥村シンゴ(おくむら・しんご)●放送・通信業請負コールセンターを経て、2012年から2018年まで認知症祖母在宅介護を6年経験。現在は精神病院に入院する祖母の緊急対応兼フリーランスライター、コラムニストとして執筆中。介護中心にエンタメ、時事まで幅広いジャンルを得意とし、citrusをはじめデイリースポーツ、季刊誌 認知症ケア(日総研出版)、介護ポストセブン(小学館)、みんなの介護ニュース(クーリエ)、アゴラなどで執筆中。