だからこそ、一瞬で勝負がつくことも。

「最初から組んでいるため、逃げて時間を稼いだりすることはいっさいできないんです。

 残り5秒でも組んでからスタートできるので、いつ投げられてもおかしくない。瞬きも許されないようなスリリングな競技なんです

 過去の日本の金メダリストには、こんな人もいるとか。

100キロ超級の正木健人選手は世界を震撼させる華々しいデビューを飾りました。

 '11年の世界選手権では、ほぼ開始数秒で1本勝ち。決勝ではパラリンピック2連覇の選手すらも数秒で畳に沈め、優勝したのです」

 手に汗握るとはこのこと。

「視覚障害者の水泳が好きなんです。選手はブラックゴーグルといってまったく見えなくなるゴーグルをつけて競技するのですが、ターンのタイミングをとることが難しい。

 そこでタッパーというターンのタイミングを教える役割の人が登場します

 発泡スチロールなどの柔らかい素材を先端につけた棒で選手をタッチしてターンのタイミングを知らせる。

これがものすごく重要で、0・1秒ずれると10センチから15センチぐらいずれてしまう

 遅ければ壁を蹴る力がうまく伝えられないかもしれないし、早ければ壁に届かないかもしれない。タッパーとの相性やタッチする技術で、タイムがものすごく変わってくる」

 タッパーのうまい、下手をどう見分ければいいのか。

「ターンのタイミングで抜いたとか抜かれたとか、そこでスピードが損なわれていなければいいタッパーなんだと判断できると思います。

 今タッピングうまくいったから勝ったなとか、この国のタッパーは下手だなとわかるとすごく楽しいと思います。まさに二人三脚ですね

 ほかにも上肢、下肢の欠損や知的障害者のクラスもあり、見どころ満載だ!