「ここ館林で長きにわたり製造させていただいていますが、実はこういった施設を造るのは初めてなのです。あらためて地域の方々との交流を含め、さらに『カルピス』を深く知っていただくために、100周年を機に造ることができたのは本当に感慨深いですね」

カルピスのルーツはモンゴルにあり

 カルピスを展開する、アサヒ飲料株式会社の岸上克彦社長は館内を見渡して話す。かつては「味の素」の子会社に、そして現在、アサヒ飲料と合併した中で、岸上社長は元来からのカルピス“出身者”。それだけに思いは一入だろう。

 そう、カルピスが1919年に発売されてから、今年でちょうど100周年。そんな記念年に、群馬県館林市のアサヒ飲料群馬工場内に、カルピス初の常設見学施設『「カルピス」みらいのミュージアム』が新たにオープンする。

「実際に製造ラインも見ていただけますし、知識や歴史など、また発酵の香りを体験できる部屋もありますので、カルピスを肌で、五感で感じていただけたらと思います」(岸上社長)

 ガイドさんの案内で館内を回ると、さっそく出迎えてくれたのは乳牛の模型。いまさらながら、カルピスは生乳を原料とする乳酸菌飲料なのだと実感。

 その原点を探る「はじまりのへや」では、カルピス誕生を描いたアニメーション『初恋の味~「カルピス」をめぐる不思議な旅~』を上映している。作画を手がけたのは、『アルプスの少女ハイジ』などのキャラクターデザインを務めた小田部羊一氏。

「異国の長旅で体調を崩した(カルピス生みの親)三島海雲に、(内モンゴルの)現地の人が発酵乳をすすめてくれ、飲んだところ体調はみるみる回復いたしました。日本の人にも元気になってほしい、という三島海雲の思いがカルピスを誕生させたのです」