故郷は「心の居場所」

 蟹座にはもうひとつキーワードがある。「故郷」だ。

 昨年、黒羽麻璃央は『みやぎ絆大使』に任命された。宮城県は彼の出身地。「いずれは故郷に関わる仕事がしたい」と公言していた彼にとって、ひとつの夢が叶(かな)った瞬間だったのではないか。

 彼は「地元」の話をよくする。仕事を辞めて実家に帰ろうかと思ったとき、両親に「帰ってきていいよ」と言われて逆にやってみようという気持ちになったというのはファンの間では有名な話だ。地元の友達を大切にしているし、彼のファンミーティングの場所に必ず仙台が含まれているのもしかりである。

 蟹座は蠍座・魚座とともに「水の宮」に属する。占星術において、水は感情や情緒の象徴だ。蟹座はどんなにポーカーフェイスに見えても、その内に豊かな情感を隠し持っている。硬い甲羅で覆われた内側に、柔らかく繊細な感覚をしまい込んでいる。そう簡単に人に見せたりしない、本当に大切な聖域。そこへの通行パスを蟹座が与えるのは、自分が「身内」だと認めるほんの数人にすぎない。蟹座にとって故郷は「心の居場所」なのだ。

 故郷に認められたい。身びいきの励ましや応援ではなくて、誰もが「これ!」とわかる形で凱旋(がいせん)したい。

 それを黒羽麻璃央の目標ととらえるなら、彼は確実にそのステップをのぼっている。

 前述の『みやぎ絆大使』を皮切りに、昨年末にはミュージカル『刀剣乱舞』から“刀剣男士”として『NHK紅白歌合戦』に出演。文字どおりの晴れ姿を披露した。さらには、9月に公開された映画『いなくなれ、群青』をはじめ、今年に入ってからは映画4本、ドラマ5本に出演し、映像作品でも活躍が目覚ましい(映像作品は全国どこでも見られるから、地元のみんなに活躍を見せることができてうれしいと彼は言う)。