すると彦摩呂は当時の味を覚えていて、

「あのときのラーメンうまかったよ! 福島の食材、俺めっちゃ好きやねん! TOKIOほどじゃないけど、俺も福島県の仕事もらって“うまいい、うまい~”って言ってんだよね! 俺も福島の食材応援してるんだよ! 今回の台風の被害もひどかったなぁ。いわきでフードフェスの仕事があったんやけど中止になってしもうたんや」

 と熱く語りかけてきたそうだ。

粋な心遣いに感動

 地元の福島が被災しているなか、フードフェスに出店することについての葛藤を山本さんが彦摩呂に話すと、

そんなこと言ったらあかんよ。きみにしかできないことがある。きみらが食べ物で笑顔にしてくれたら、その人たちが喜ぶんだから、それを被災者の人たちのために自粛というのはおかしい話だよ。地元の食材をPRしているのは素晴らしいことだから、胸を張ってどんどんやったらいいよ」

 優しく言葉をかけられたという。それに対し山本さんは、

「熱くなりました。地元の人が炊き出しや泥かきなどをやっているなか、被災していないところでラーメンを提供することへのひっかかりがありましたが、モヤモヤが断ち切られて、迷いはなくなり、やれることをやろうと思いました。一本の芸で筋を通しながら生き残り、続けている人の重みを感じましたね」

 彦摩呂は、去り際にも粋な姿を見せた。

“大変だけどお互い頑張ろうな〜。少ないけど、ジュースでも飲んで”って『彦摩呂』と書かれたポチ袋をいただきました。帰って中身を見たら、ジュースなら100本くらい買えるくらいの金額が入っていて。お互いほとんど知らない、袖振り合ったくらいなのに、そこまで心遣いしてくれるなんて……。このお金はジュース代というよりは、地元で被災した人がいるので、義援金として役場に渡そうと思っています」(山本さん)

 優しさの宝石箱や〜!