生産者のそばで安心な料理を伝えたい

 だから、いま、依田シェフが力を入れているのが食育。旬の、おいしくて安価なを使って、カツレツやから揚げなどを、子どもたちにどんどん食べさせたいと考えている。

 なぜなら、「子どもが自分たちの故郷・小田原の介を好きになることは、結果的に日本の漁業を守ることにつながる」と信じているから。

「こねくりまわした小難しい料理じゃなく、素材重視の、身体にも安心な料理を伝えていきたい。そういう料理が小さいときから、当たり前にある世の中になるといいと思っている。

 そのためにも僕は、いち料理人として生産者の近くにいたい。小田原以外の漁港も訪ねたいし、農業や畜産業の生産者にも会いたい。将来的には、食材にも身体にもストレスのない食文化が発達する手助けができたら最高です」

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【写真】安心な食を目指し、ヒラメを選ぶ依田シェフは真剣そのもの

依田隆(YODA Takashi)
1970年、埼玉県生まれ。26歳で料理の道に入り、国内で数年の修業を重ねたのちイタリアへ。帰国後、イタリア店で腕をふるい「リストランテ・ヒロマーレ」を経て、2006年、神奈川県小田原漁港(通称・早川漁港)の目の前に「イルマーレ」をオープン。最新刊『スゴイ料理』(秀和システム、本体価格1500円)は全国の書店で発売中。