違うクリニックに行って治療を続けてしまう

益子「先生のクリニックで、45歳を過ぎても治療を続けている方はいらっしゃいますか?」

西川「いらっしゃいます。べストなのは子どもに恵まれて卒業していくことなんですけど、できない人でもソフトランディングというか、少しずつ話をして、治療の間隔をおいて考える時間をつくってあげたり。ご自身がやめることに納得していないと、こちらがどれだけ説得しても違うクリニックに行って、治療を続けますから

益子「その気持ち、わかります。私、45歳の誕生日に主人の立ち会いのもと婦人体温計とグラフと薬をすべて捨てたんですけど、実は診察券は残していて(笑)。まだ通院しよう、なんて思っていましたから

西川そういう意味で、ご夫婦で話し合って決断されたことは素晴らしいと思います。ご主人がそこまでサポートしてくれる人はそんなに多くないかもしれませんよ」

益子「うちは本当に恵まれていたと思います。遠征で忙しい中でも時間をつくって、一緒に病院に来てくれたり、嫌がらず協力してくれましたから」

西川「治療を続ける中で、結果が出ないことはすごいストレスだと思いますが、その気持ちをご主人にぶつけたりすることはありました?」

(写真左から)西川吉伸院長、益子直美
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益子「たぶん、あったと思います(笑)。治療中は妊娠することに“一点集中”みたいになっていたので、主人に心ない言葉を発してしまっていたかも。正気を失っていたというか、あのときのことを怖くて思い出せないです。

 実は、不妊治療をしていることを周りに話していなかったんです。なので“赤ちゃんはまだなの?”なんて気軽にかけられる声が本当につらくて……。ただ、女の子の親友には話していたんですけど、その子は未婚で、子づくりには縁遠い子だったんです」

西川「相談相手にはなってくれたけど……」

益子「親身になってくれたのですが、“友達が不妊治療やめたら、ポロっとできた子がいるからやめてみれば?”なんて言われて。やってもないあなたに何がわかるの? って、そこで友情に亀裂が入ったこともありました

西川「そんな中で支えてくれたのが、ご主人なんですね」