「行きたくない」自分を支えるのは自分だけ

前園 そうなんですよね。僕の場合、もう1度やり直そうと前向きになれたのは、サッカーをしていたおかげだと思っています。サッカーは、ゴールを決めるよりも、ミスやうまくいかないことが連続するスポーツなんです。

 でも、ミスが怖くてボールをもらわずにいたら監督もチームメートも認めてくれませんから、自らボールを受け取ってドリブルをしなければ、先には進めない。これは、人生で大きな失敗をしたときにも共通していると感じて「ドリブルに失敗したなら、またゼロからスタートすればいい」と切り替えられましたね。

原田 素晴らしいな。前園さんがストイックに自分自身と向き合えたのは、スポーツマンだからだと思いますよ。

前園 たしかに、サッカー人生を経験していない自分が同じ騒動を起こしてしまったら、もっと弱気になっていたと思います。

原田 そういう意味でいえば、自分を成長させてくれたのは“旅”ですね。旅先では、心を裸にしていないと相手も心を開いてくれないんです。特に地方に行って芸能人然としていると、「あの人は芸能人だから」と、地元の人は萎縮してしまうんですよね。

 旅は自分の肩書すべてを取り払って、ひとりの人間として人や景色とどう向き合うか、を試される場でもある。旅での出会いは、心を研磨してくれるんですよね。

前園 なるほど。僕が原田さんとお仕事したときに、いい意味で“素”でいられたのは、原田さんが裸の心で接してくれたからかもしれないですね。

原田 そう言ってもらえるとうれしいですね。どん底まで落ちた僕に、励ましの言葉をかけてくれる人もいて、ありがたいとは思うのですが、それと同時に「自分を支えられるのは自分しかいないな」と強く感じたんです。

 自分への自尊心が1%でも残っているなら、自ら火をつけるしかない。不祥事以降、自分自身に「おまえ、頑張れ!」と喝を入れるようになりましたね。いろいろな番組に呼んでもらいましたが、絶対にいじられるので、ホンネは「行きたくない」なんですよ(笑)。

前園 じゃあ、スキャンダル発覚後に僕が出演している番組に来ていただいたときも、不安だったんですか?

原田 もちろん、声をかけていただけるのはありがたいですが、正直、行きたくはなかったですね(苦笑)。それでも自分を鼓舞して出演しました。結局、僕を応援できるのは僕自身なんですよね。