1人1人の役割を重視

 マスクだけではない。日本では防災グッズの準備と防災訓練が社会における全国民的課題になっている。地震や津波などの災害は日本人にとって珍しいものではない。外部の人々に深い印象を与えるのは、往々にして日本人が災害時にみせる秩序の感覚だ。

 この秩序の感覚にはそれなりの根拠がある。専門家の指摘によれば、「人々の感覚という角度からみると、公共衛生に脅威を与える重大事件はいつも『突然やって来る』ようだが、救急救命管理という角度からみると、災害に対する日常的な管理は日常の中の当たり前のことでなければならない」という。

■日本の防災意識

 防災意識は、企業の選択の上にも反映されている。政府の緊急時管理態勢だけでなく、日本の民間企業はこれまでずっと防災や緊急時対応で重要な役割を担ってきた。日本の大手食品メーカーにとっては、日常的に食べている食品をどのようにして非常食にバージョンアップさせるかが、ここ数年の新たな業務の重点となっている。

 アナリストは、「『非常食ブーム』は人々の防災意識の向上と関係がある」と指摘した。日本のダイヤモンド・オンラインがネットで行った調査によると、日本のネットユーザーの半数以上が、「非常食を買って不測の事態に備えるつもり」と回答した。

 モノの準備だけでなく、災害の記憶を風化させないことも、日本が今直面する「危機意識」をめぐる課題だ。

■日本の企業・学校は防災訓練を定期的に実施

 これまで災害を体験したことがない多くの「傍観者」にとって、被災者の遭遇は自分が永遠に実感することも体験することもできない「向こう側」の出来事であり、「こちら側」にいる人々の間では記憶が風化しやすい。

 東日本大震災が起きた時、日本の批評家・東浩紀氏は、「災害の記憶を風化させてはならない。災害の記憶は一種の遺産であり、重要な現実的価値をもっている。

 あの痛みを記憶し続けることで、人々に安全な状況の中でも危険を忘れないよう注意を促すことができる。一人一人が努力し、自分の安全に対して責任を負わなければ、災害はある日突然やって来て大きな被害をもたらす」との見方を示した。

 今、中国は新型コロナウイルスの感染による肺炎がもたらした挑戦に直面している。お隣の国・日本で生まれたこうした物語は、人々を感動させるだけでなく、私たちの姿を映し出す鏡にもなってくれる。(提供/人民網日本語版・編集/KN)