平謝りする者、開き直る者……それぞれの“釈明”

 こうした構図は、芸人の不倫でもよく利用される。'14年にグラドルと浮気をした浜田雅功は、メディア向けのFAXで《羽根を伸ばしすぎ、その羽根は家族にへし折られました》とコメント。「迷惑をかけない遊びは大いに結構」という妻の言葉に甘えすぎたという意味の言い訳だ。

 吉本の後輩・宮迫博之も恐妻家キャラでピンチを乗り切ってきた。特に'17年、ふたりの女性との不倫が報じられたときには、雑誌の直撃に「えー、オフホワイトです」と説明。クロではないが、シロともいえないといううまい返しをしてみせた。が、昨年の闇営業問題により、過去の女性関係までクロっぽい印象に変わってしまったのは否めない

 また、会見で泣きながら謝ったのが大鶴義丹だ。'03年、自宅へほかの女性を招き入れ、そこに帰宅した妻・マルシアが鉢合わせ。しかし、大鶴は6人で飲んでいて、たまたま1人女性が残っていただけとしたうえで「僕が悪い」「謝りたい」「土下座してもいい」「マーちゃんごめんね」と訴えた。それも実らず、翌年離婚する。

 そこへいくと、歌舞伎役者には強気な人も。坂田藤十郎は中村鴈治郎時代の'02年、 51歳年下の舞妓との不倫が発覚した。それも、ホテルで下半身を露出している写真まで撮られるという、人間国宝にあるまじき失態だったが、会見では「お恥ずかしいなあ、私が元気だって証明くださって」と豪快な切り返しを見せた。妻の扇千景も「問題じゃない」とフォロー。梨園の美学が世間の常識をねじ伏せたかたちだ。

 中村芝翫も橋之助時代の'16年、芸妓との不倫が発覚。会見では何を聞かれても「私の不徳のいたすところでございます」を繰り返し、その数は25分間で8回にも達した。さすがは幼少期から稽古してきたとあって、何か決め台詞を言うのはお手のものなのだろう。妻の三田寛子も「家族5人で頑張ります」と語り、事なきを得た。

 大衆演劇のスター・梅沢富美男もなかなかのものだ。バラエティー番組では、これまでの浮気の数を「80回!」と豪語。ただし「私は遊びです」ということで、本人的には「不倫」ではないらしい。また「全部バレた! もう全部!」だそうで、妻には「飽きないの?」とあきれられているという。

 そんな梅沢が本格的な不倫をして会見を開いたら、どんな言い訳をするのか。ちょっと聞いてみたいかも!?

(寄稿/宝泉薫)


ほうせん・かおる ◎アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。近著に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)