キャラクターたちは手書きで管理

 畠中さん手描きの設定資料を見ると、主人公みかんや仲間の猫又たちの姿が可愛いイラストになっています。ひとりひとりの毛色、体つき、耳の形、しっぽの様子まで丁寧に特徴が描き分けられているのに驚きます。

「今は、いろんな猫の姿や写真がいっぱいネットに出ているので、そういう画像を参考にしながら油性ペンで描きました。柄が気になっていたので、こんな柄かなと考えながら。途中でへたばって白い猫ばかりになってしまったんですが」

 主人公のみかんは明るい茶トラの毛に金目銀目のオッドアイ。仲間を見ると、おきゃんな白花は白毛、気の強い鞠姫(きくひめ)は灰色毛、呑気(のんき)で大らかなぽん太は毛足長めの茶毛と、キャラクターに応じた毛並みになっています。

「毛色によって猫の性格が違うという本も読みました。オッドアイは縁起がいいと書いてあったので、みかんは金目銀目にしました」

『猫君』の中では、花のお江戸に6つの猫又の陣地が隠されています。武陣・姫陣・花陣・祭陣・黄金陣・学陣。各陣で誕生した新米猫又20人は、それぞれの陣と戦うことになってしまいます。その合戦はいわゆるチャンバラではなく、猫又の知恵比べ。

畠中恵 撮影/吉岡竜紀
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「武力の猫又合戦だと陣ごとの数が違いすぎるでしょう。昔、武闘派の由利姫が陣を取った……という『第四次猫又危機』の話も出ますが、正面きっての合戦というより、姫陣が人間を味方につけて、実際の戦いに行くまでもなく奪い取ったという、そういう形になっています。

 実際に刀を持って合戦をしてしまうと人が介入してきてもめ事になる可能性がある。というところで、こういう合戦に移行していったかな」

「猫宿」の長と呼ばれ、ほかの猫又から恐れられる長毛白毛の威風堂々たる猫又は、何と魔王と呼ばれたあの戦国武将です。

「猫又は長い時代生きているので、だとしたら江戸時代ではなくて、もっと前の時代の人になるんだろうなと考えました。そういう設定にすると猫又の長寿が伝わりますよね。

 中でも、私は昔、名古屋に住んでいたし、その武将もけっこう好きなので。やっぱり長は彼だなと」