横田龍儀さん 撮影/伊藤和幸
横田龍儀さん 撮影/伊藤和幸
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俳優になって7年

 福島県川内村出身の横田さんは、高校1年のときに東日本大震災を経験している。そのときに被災地に支援に訪れた芸能人の姿を見て、俳優を志したと話す。

「もともと仮面ライダーが好きで、俳優に憧れはあったんですけど。震災が起こって、芸能人の方が被災地での活動で多くの人に元気を与えているのを見て、彼らの影響力の大きさを強く感じました。被災者である僕が有名になったら、少しでも地元や被災者の方を元気にできるんじゃないかなと思ったんです

 しかし、高校卒業後は“役者なんて安定していない職業になれるわけがない”と就職しようと考えていたそう。そのとき、両親が背中を押してくれてジュノンボーイのコンテストに応募。審査員特別賞を受賞し、デビューのチャンスをつかんだ。俳優になって7年がたって思うことは。

「応援してくれている両親への感謝。そして、正解のない本当に厳しい職業に就いてしまったなという思いですね。でも、ファンの方や誰かを笑顔にしたり、楽しんでもらえたり、感動してもらえたり……、少しは自分も人に影響を与えられる存在になれていると思えたときは、うれしいしやりがいを感じます」

 質問のひとつひとつにまっすぐに答える様子からも、まじめな人柄がうかがえる。

「まじめなんですかね。性格は……ネガティブで負けず嫌いで短気。自分で自分をめんどくさいやつだなと思います(笑)」

 2・5次元作品では、かわいい系の元気なキャラクターを演じることが多いことについては、

「なぜ、ポジティブな役ばっかりいただくのか、不思議です(笑)。でも、舞台の上ではポジティブになれますし、自分じゃない人間になれるのも役者の楽しさですよね」

 25歳男子のひとり暮らし。家事は得意ではないそうだが。

「料理はわりとするほうだと思います。得意料理はチンジャオロース。ひとり暮らしを始めたころに母がくれた料理本で覚えました。それだけはマジでウマいと思ってます!」

 いま、いちばん楽しいことを尋ねると、

「ボクシング。7歳から11年間やってたんですけど、最近、またジムに通い始めて。無心になってサンドバッグを叩いていると、嫌なことも全部忘れるし楽しいですね」

 長いまつげがチャームポイントのかわいい系男子かと思いきや、意外に低い声で男らしさのある横田さん。昨年、地元の『川内村ふるさと大使』に就任し、故郷を元気にしたいという志も忘れていない。

「弱点をどんどん消していって、どんな役もできる役者になるのが目標です」


横田龍儀(よこた・りゅうぎ) 1994年9月9日、福島県出身。‘12年、第25回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト審査員特別賞受賞。‘13年、舞台で俳優デビュー。‘15年、映画『宇田川町で待っててよ。』主演。‘17年、ミュージカル『刀剣乱舞』~三百年の子守唄~で2.5次元ミュージカルデビュー。以降、MANKAI STAGE『A3!』で主役に抜擢されるなど、多くの2.5次元作品で活躍している。

ミュージカル『VIOLET』

ミュージカル『VIOLET』
ミュージカル『VIOLET』

1964年、アメリカ南部の片田舎。幼いころ、不慮の事故で顔に大きな傷を負ったヴァイオレットは、25歳まで人目を避けて暮らしていたが、あらゆる傷を癒す奇跡のテレビ伝道師に会うために長距離バスの旅に出る。さまざまな人と多様な価値観との出会いにより、少しずつ変化しはじめた彼女がたどり着いたのは……。出演:唯月ふうか/優河(Wキャスト)、成河、吉原光夫、spi、横田龍儀、原田優一、島田歌穂 ほか。4月7日~4月26日@東京芸術劇場プレイハウス【問い合わせ】梅田芸術劇場(10時~18時)電話0570-077-039

取材・文/井ノ口裕子