清水一幸プロデューサーが語る'20年版“東ラブ”の見どころ

 高校生のときに'91年版を見て「自分もドラマを作りたい!」と決意。在阪テレビ局に就職したが、ドラマ制作にこだわりフジテレビに中途入社。面接官だった大多亮さんに「いつか『東京ラブストーリー』を作りたい!」とアピールしたそう。

「3年ほど前に大多さんに“やってみたら?”と言われて動き始めました。でも実際に制作が決まって報告したら“マジか!”と(笑)」

 '20年版は、広告代理店に勤める完治が、地元の愛媛支部から東京営業部へ配属となって上京してくるところから物語が始まる。地元の同級生の三上に誘われた飲み屋に、学生時代から思いを寄せるさとみも合流。そこへ同僚のリカから連絡が入り、完治が会社に忘れた財布を届けてもらい、4人で一緒に飲むことに。リカの積極的な行動に戸惑う完治だが、彼女には上司の和賀と不倫の噂もあって……。

今回は原作に近い設定で、完治目線の台本にしました。'91年版と同じものを作ってもしかたないということと、今の時代のものを作りたいという思いからです」

 今の時代に欠かせない、スマートフォンやLINEによって描き方は変わる?

「仕事中や誰かと一緒なら、電話がかかってきても出ないこともあるし、内緒で会うためには“仕事だから”とウソをつくこともありますよね? それは今も変わらないし、気持ちのすれ違いはいくらでも描けるな、と」

 '91年版の脚本を担当した坂元裕二さんにリメークを伝えると、「へぇ~」と驚いた後に「俺が書くの?(笑)」と言われたという。大多さんや坂元さん、原作の柴門ふみさんも楽しみにしているという“令和版”の見どころは?

「時代は変わっても恋愛は不変。“昔のほうがよかった。私たちの見ていた名作を汚さないで”という方もいるかもしれませんが、“今の時代だからこうなった”と思って見ていただけたらうれしいですし、旧作も含めて、親子で見るきっかけにもなったらいいですね」

 地上波放送ではなく動画配信サービスFODでの配信や、主題歌にSNSや口コミで人気のシンガー・ソングライター、Vaundy(バウンディ)を起用。新たな取り組みにも注目したい。

(取材・文/成田全)