新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて多くの学校が休校となり、子どもたちも自宅での自粛を余儀なくされています。わが家でも、小学生の息子が外で遊べないと嘆きながら、ゲームをして過ごすことが増えています。

 こうした日々が続き、自宅時間を楽しむためのいわゆる“巣ごもり消費”が活発化するなか、『ニンテンドースイッチ』をはじめとした家庭用ゲーム機は需要が急増。各地の量販店では抽選販売を行うほど、飛ぶように売れているそうです。さらに、子どもたちは家庭用ゲーム機だけでなく、両親または自身のスマートフォンやタブレットなどを使ってゲームやSNSをする機会も増えているでしょう。

 そこで今回は、ゲーム・SNSに触れる時間が増加した子どもたちに忍び寄る危険性と、家庭で今すぐ行える対策について話したいと思います。

SNSがらみの被害児童数は過去最多に

 2019年11月、大阪市住吉区の市立小に通う6年の女児(12)が連れ去られ、栃木県小山市で保護された事件がまだ記憶にある方は多いのではないでしょうか。捜査関係者によると、この事件の容疑者と被害女児の接点は『荒野行動』という大人気のオンラインゲーム。スマホを使って多数のユーザーが同時にプレーできるサバイバル型ゲームであり、国内だけで約2500万ダウンロードもされています。

 容疑者はまず、このゲーム内で被害女児と接触したのち、ツイッターなどのSNSを通じて連絡を取り合うようになり、誘拐に発展したといわれています。『荒野行動』には音声で通信する『ボイスチャット』と呼ばれる機能があり、見ず知らずの相手と簡単に会話ができるようになっています。

 音声通話は、字面だけでの淡白なやり取りに比べ、相手に簡単に気を許してしまう可能性が高いのです。スマホゲームには、こうしたボイスチャットや、ゲームの中で友達になって交流することができる『フレンド』機能があり、もはや「SNSがゲームに組み込まれている状態」と言ってもいいでしょう。

 大人数で手軽に楽しめるこうしたスマホゲームは当然、家庭用ゲーム機にも移植され、人気のゲームタイトルとなっています。ボイスチャットやフレンドなどのSNS機能も同じように組み込まれているために、注意が必要なのです。

SNSに起因する事犯の被害児童数(警察庁「令和元年の犯罪情勢」より)
SNSに起因する事犯の被害児童数(警察庁「令和元年の犯罪情勢」より)

 また、先日発表された警察庁の資料(写真ページ参照)によれば、SNSに起因する事犯の被害を受けた児童数はこの5年間で26.8%も上昇し、過去最多の2095人となってしまいました。被害の内訳が把握できる前年の発表を分析すると、略取・誘拐だけでなく児童ポルノ、児童買春、青少年保護育成条例違反(淫行)など、子どもの未来に悪影響を与える卑劣な犯行が年々、増加傾向にあり、原因として「スマホやゲーム機が子どもたちに広く普及してきたこと」が指摘されています。

 被害者を年齢別に見ると、中高生が急激に増えていますが、小学生の被害者数も5年前の5倍にまで膨れ上がっていることを見逃してはいけません。

 しかし、こうしたSNSやゲームに潜む危険性について理解し、きちんと対策を行うなどネットリテラシー(トラブルを回避し、インターネットを適切に使いこなす能力)が高い親はいったい、どれだけいるのでしょうか。

 急速に発展を遂げたインターネット、子どもたちへの普及が進む利用端末、次から次へとアップデートされていく情報に囲まれるなかで、しっかりとした答えを出すことができる親は、なかなかいないでしょう。したがって、子どもたちと同時並行して、親側のネットリテラシーも高めていく必要があるのです。むしろ、子どもたちより先に学び、我が子の身に迫る危険から遠ざけてあげることが重要です。次項では、そのために親ができる対策について詳しく触れていきます。