「5月11日、皇居内の『紅葉山御養蚕所』を訪れた雅子さまは、『御養蚕始の儀』に臨まれました。

 例年の飼育作業は主任1人と、次世代へ継承する意味もあり、農業高校の生徒やOBで構成される助手4人も担当しますが、今回は新型コロナウイルス感染対策として、主任1人だけで作業しています。

 今年の繭の収穫は6月中の予定なのですが、実はまだ、今後も引き続き雅子さまが収穫作業に携わるかは未定だそうです。ただ、ご本人としては“自分の手で作業したい”というお気持ちが強いと聞いています」(宮内庁関係者)

 明治時代以降から歴代皇后に引き継がれてきた、皇室の伝統行事であるご養蚕。

“5代目”となる雅子さまは昨年、即位関連の行事が重なったことから作業を行えず、今年が初めてとなる。作業は約2か月にわたって続く見通しだ。

『紅葉山御養蚕所』で『御養蚕始の儀』と『掃き立て』を行うため皇居に入られる際にはマスクを(2020年5月11日)

「11日に臨まれた儀式では、豊作を祈る神事の後、ふ化したばかりの蚕に初めて桑を与える『掃き立て』という作業が行われました。

 '18年5月、美智子さまは天皇ご一家(当時皇太子ご一家)を皇居まで招き、養蚕所の見学や『御養蚕始の儀』、そのほかの作業についても、丁寧な説明をされたそうです。

 雅子さまはそのとき、蚕を慈しむ様子で喜んで触られていましたし、美智子さまからの“手ほどき”もあり、今回の養蚕作業もスムーズに行われるだろうといわれています」(侍従職関係者)

 そもそも養蚕とは、古くは『日本書紀』に当時の皇妃が豊穣を願う意味を込めて飼育していたという記述があり、その後、明治の昭憲皇太后が養蚕業奨励のために始めたもの。

『平成』で美智子さまがお育てになった日本在来種の蚕『小石丸』の繭で作られた糸は、奈良県の『正倉院』内に保管される宝物模造品の修復にも使われている。

美智子さまたってのご意向で続いた飼育

「愛子さまと悠仁さまが誕生された際には、美智子さまが小石丸の絹糸で産着を仕立てておふたりにお贈りしたり、一般的な結納にあたる『納采の儀』で、雅子さまに贈られた絹の巻物にも、ご養蚕所の糸が使われたのです。

 しかし、小石丸の繭の大きさは普通の繭の半分ほどしかなく、糸になる割合も普通のものが2割に対して1割ほど。

 実は'85年には小石丸の飼育を廃止する可能性が浮上したのですが、平成で引き継がれた美智子さまが“繭の形が愛らしく、糸が繊細で美しい。古いものも残しておきたいので、小石丸も育てましょう”と提案されたことで、飼育が続くことになったそうです」(宮内庁OB)