帰国後、ホテル滞在する夫に不倫の影が

 現在、海外帰国者への感染対策は厳格です。例えば、海外からの帰国者はまず空港でPCR検査を受けると、検査の結果が出るまで空港内か指定の施設、または自宅で待機します。そして検査の結果が陰性だった場合は、次の滞在先で14日間、他者と接触せず、隔離された生活を送らなければなりません。公共交通機関で移動してはならないので家族などが自家用車で送迎することができない場合、結局はまた空港近くのホテルに宿泊することが定められています。帰国者以外も自粛の連続で不自由な生活を強いられていますが、帰国者の制約は段違いです。

 しかし、3月上旬の時点で政府はそこまで厳しいルールを科しておらず、各人の自主性に委ねていました。夫の会社の方針としては、帰国者は2週間、出社を禁じ、自主的な隔離を求めていました。明子さんはてっきり夫が自宅に戻ってくるのだと思っていたそう。しかし、夫は「お前たちに何かあったら」と言い、自宅ではなくホテルで過ごすことに。実のところ、明子さんは夫が戻ってこなければいいと思っていたので願ったりかなったり。

 そんな矢先、明子さんのスマホにLINEが届いたのです。「311だよ。早く来てね」と。家族の感染を心配している夫が明子さんをホテルに呼び出すのはおかしい。明子さんは「もしかすると不倫……? 相手の女に送るLINEを間違えて私に送ったの?」と女の勘を働かせ、「誰に送るはずだったの?」と返事をせず、こっそりと探偵事務所に依頼をしたのです。

 具体的には311号室の前に隠しカメラを設置し、待ち合わせの様子を撮影しようと試みたのです。後日、探偵に渡された報告書には1週間のうち3回、女性が部屋に入り、3時間ほど滞在し、出てくる様子が映っていました。明子さんはその女性に見覚えが。

 以前、経理の精算で夫のレシートを会社へ届けたことがあり、対応してくれた出向先の経理部の社員だったのです。もし女性がデリヘル嬢なら気持ちの伴わない情事なので「見なかったこと」にすることも可能だったかもしれません。しかし、相手が元同僚なので遊びとは限りません。

 夫は女を連れ込むために自宅に戻らず、ホテル暮らしを選んだことが明らかになったのですが、ウイルス対策が必要な時期に女と「不要不急」の濃厚接触をしていたなんて、どういうつもりなのか。筆者は首をかしげざるをえませんでした。

 とはいえ明子さんいわく夫の不倫は初めてではありませんでした。出向時代にワンルームへ女を連れ込んでいたことも薄々、勘づいていたけれど、仕事は熱心だからと黙認してきたのです。筆者は明子さんに「夫が本気の場合は、そのうちに離婚したいと言ってくるでしょう」と伝えました。