アフターコロナのYouYube

しげる「話はちょっと変わるんですけど、『M』は、90年代の音楽がすごくたくさん流れているのも楽しいですよね。90年代の芸能界や音楽業界の事情も誇張して描かれていたり。お金に対するちょっとエグい描写も(笑)」

鈴木「今になって思うと、90年代の芸能界ってすごいよなっていう世界なんです。音楽業界も、バブルの後で不景気だったって言われますけど、改めてデータで見ると“躁”状態ですよ。だって、CDが何百枚も売れて、ミュージシャンも音楽関係の人も、何十億、何百億って稼ぐわけじゃないですか」

しげる「実は以前、暇だったときに松田聖子さんのシングルってどのくらい売れたのかな? とか山口百恵さんのこの歌はどうだったのかな? なんて70〜80年代の音楽についてネットで調べた事があったんですが、具体的な数字は覚えてないけど、意外とミリオンにはいってないんだという印象があります」

鈴木「いってないんですよね。30万とか50万とか、そんなもんで」

しげる「だから改めて、90年代のダブルミリオン連発の異質な感じにビックリした記憶があります」

鈴木「90年代だと、100万枚売っても、ベスト10に入らない時代がありましたから(笑)。大飽和状態で、今思うととんでもない時代だなって 今はYouTuberが儲けてますけど、世の中のいろんなお金が芸能界とか音楽シーンに集まってたっていうことですよね。だからミュージシャンが今CD売れないからってライブとかバンバンやったりしてますけど、売れないというよりは、90年代以前に戻ったというのが僕の認識です

しげる「当時は、歌を宣伝して、すればするだけCDが売れるし、みたいな時代でしたから」

鈴木「実は90年代以前は、歌をCMで流すっていう文化があんまりなかったんです。『M』の脚本を担当していろいろ本を読んで知ったのですが、それをやったのが、松浦(勝人)さんのエイベックスなんじゃないかと。今となっては当たり前ですが、自社でCM枠を買い取ってプロモーションしたい音楽を流す。でも音楽番組には出ない。

 90年代以前だと音楽番組とかで歌を宣伝してましたもんね。でも音楽番組じゃなくCMで楽曲をヒットさせるというやり方は、エイベックスさん、あとビーイングさんもそうだったかな。だから当時、CDのCMってすごく多かった

しげる「代理店さんにとっても音楽業界が大きなクライアントだった時代だったんですね。今は昔かもしれませんけれども」

YouTubeがしっかりと予算を組んで

しげる「で、さっきちょっとお話に出ていたYouTuberについてなんですけど、このコロナ禍とかで、モデルさんやタレントさん、つまり芸能人が一気にYouTubeに流れていったじゃないですか。テレビの収録が止まっちゃったりそういう背景があったからだと思うんですけど。で、アフターコロナっていうのかな? コロナ禍が境ってわけじゃないお話になるのかもしれないですけど、今後、YouTubeって立ち位置は、どのようになっていくと思われますか?」

鈴木「僕はYouTubeは今、黎明期だと勝手に思っているんですけど、実は、芸能人が参加してくるだろうなということは予想がついていたんです。それで今後についてなのですが、おそらく、しっかり予算を組んで、YouTubeで番組を作る人が出てくるんじゃないかと

しげる「それぞれの個人のプラットフォームでってことですか?」

鈴木「かもしれないですし、どこかの企業がお金を集めて番組的なものを作るとか。例えば、過去に海外であったんですけど、自動車メーカーがお金を集めてYouTubeでフェスを開催していたんです。“YouTubeのこのチャンネルでしか見られないフェス”というものですね」