最後に1つ、3人の共通点を挙げておきましょう。それは不倫疑惑に関する初動対応のまずさ。謝罪会見を開かずに身を隠し続けて批判をエスカレートさせ、結果的に配偶者や関係者に謝罪させてしまいました。

 不祥事による危機が訪れたときに重要なのは、少しでも早く頭を切り替えて、それを謙虚に受け入れること。そんなクライシス・コミュニケーション(危機管理広報)の基本さえできていれば、おのずと初動対応は早くなり、ダメージを最小限にとどめられるものです。その点で3人は日ごろからリスクに対する意識が甘かったため、厳しい現実を受け入れられず対応できなかったのではないでしょうか。

 少し3人のケースとは異なりますが、私の相談者さんに取引先の女性社員との不倫が明らかになって証拠もあるのにもかかわらず、それをはっきり認めずなかなか謝罪しない男性がいました。男性はけっきょく部署異動させられたあげく、妻にもバレて両親を巻き込んだ離婚騒動に発展。さらに上司が取引先へ出向いて謝罪し、妻もその上司に謝罪を余儀なくされるなどの迷惑をかけてしまったのです。すぐに認めて取引先と上司に謝罪しておけば、部署異動や妻への発覚は避けられたかもしれないだけに、痛恨の対応ミスでした。

彼らの今後は?

 話を3人に戻すと、彼らの未来に光がないわけではありません。実際、東出さんは出演映画「コンフィデンスマンJP プリンセス編」の公開が7月23日に迫り、PR絡みで情報番組やバラエティに出演しはじめていますし、渡部さんへのバッシングも小康状態。木下さんも芸能界から身を引いたことで、時間の経過とともに批判の声は減っていくでしょう。

 とはいえ芸能活動をしていくのなら、完全に批判を封じ込めることは不可能。できるだけそれをやわらげられる本業のスキルを手に入れ、見せ続けていくことで少しずつ信頼を獲得していきたいところです。それがうまくいったとき、ここで挙げた共通点はなくなっているでしょう。


木村 隆志(きむら たかし)コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者
テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。