「どこ見てんのよ!」と勢いよく言い放つ“キレキャラ”で一世を風靡(ふうび)した、お笑いタレントの青木さやかさん(47)。現在はドラマや舞台への出演から情報番組でのレポーター、ユーチューブチャンネルの運営まで、幅広く活躍中だ。メディアで見る姿は“強い女性”というイメージがあるかもしれないが、母親との確執、自身の離婚、シングルマザーとしての日々など、プライベートは何かと大変だった。だが、青木さんは子育てと真剣に向き合うなかで「生き直し」を決意したという。その経緯や複雑だった親子関係、母として愚直に生きる姿勢をたっぷり語ってもらった。

贅沢をしたかった自分、嫌がった元夫

 もともとは女子アナウンサーに憧れていたものの、叶(かな)わなかったという青木さん。かつてアルバイトもせずパチンコに通い、消費者金融にも手を出して100万円を超える借金があるなかで、芸人としてなんとかして売れた。テレビ番組などでは、自分よりもキラキラして見えた女子アナに、よくキレていた。

「デビュー当時は、自分がなれなかった女子アナや、ほかにも自分にないものを持っている人に対して怒ってきました。キレている様子は完全に“ボケ”というワケではなく、どちらかというと自分のなかにある気持ちを大げさにデフォルメして怒る感じでしたね」

 しかし、とあるバラエティー番組の収録で、笑いをとりにいったつもりが「よくぞ言ってくれた!」と“貴重なご意見風”にとらえられ、限界を感じたという。

「笑ってほしくて怒っているのに、みんな真顔で、逆に“なるほど”と納得されてしまったんですよね。思えば、そのころの私は芸人のなかで年上になってきていたし、お金と認知度があり、家庭を持って子どももいて、いい生活もできていた。客観的に自分の現状を見たときに“もうキレる理由がないな”と思ってしまったんです。それに、(出演した番組などを)娘の学校関係者も見ているし、映像は残るものだから、娘が後で見たらどう思うかな、と考えてしまったんです。そうすると“キレキャラ”っていう役割では、自分はもう役に立てないんじゃないかと思って」

 私生活では、ブレイクを重ねた'07年に3歳年下のダンサーと約半年の交際を経て結婚したが、'12年の3月には離婚が報じられた。青木さんの両親は青木さんが15歳のときに離婚している。青木さんは当時、離婚に反対したそうだが、自分の場合は離婚を決意した。なぜ、別れるという選択肢をとったのだろうか。

「細かいことの積み重ねですし、離婚に至った見解は元夫と私とで違うかもしれません。それを前提としたうえで、私としては、頑張ってきたご褒美だもの、贅沢(ぜいたく)がしたかった。それをともに喜んでほしかった。せっかくお金がない状態から稼げるようになったのだから、いい場所に住んで、いい車に乗りたかった。海外旅行にも行きたかった。でも、彼はとても堅実な人で、そんな私を諌(いさ)めていた。だから、自分がお金を出して買ったものでも“これ、もらったんだ〜”とか、嘘をついてたんです。

 でも、やっぱり限界がきますよね。しかも当時は、私のほうが稼いでいたから“こっちがたくさんお金を出しているんだから、家のなかのこととか、もっとやっておいてよね”みたいな気持ちもどこかにあったんです。それで元夫の前で、理由も言わずに、ただただ不機嫌になる。彼はなぜ私の機嫌がたびたび悪かったのかを、今も知らないと思う。だからもう、本当にズレにズレが生じた結果が離婚、ということですかね。結局、本音を出せない部分も多いまま結婚生活を続け、相手は何も言わなくても自分をわかってくれる、甘えさせてくれる、と思ってしまっていたんです」

 一度は、なんとか離婚を踏みとどまろうと別居して様子をみたが、そのうち離れて暮らす状態が楽になってしまい、2人で話し合った結果、結婚生活に幕を閉じたという。しかし、離婚直後は大変だった。