ツアーの一番の目的は、長引く自粛の中においてアーティストとしてポジティブなメッセージを届けていくこと。今回のツアー名は『PHOENIX(フェニックス)』―不死鳥を意味する言葉だ。

火の中に突っ込んでいっては、そのたびによみがえる。私の人生と同じ。生まれ変わったら、より一層パワーアップする。スタッフにも言われました。“フェニックスって、大黒さんぽいね”って」

 子宮疾患の治療で2010年から6年間活動を休止。その後、病気からまさに不死鳥のような復活を果たしている。

「復帰してから明日があると思って生きてないんです。だから常に全力になっちゃう。じゃないと後悔しそうで……」

三浦春馬さんへの思いをこめた曲

 コロナ禍においても精力的に活動し、今年3月からは8か月連続で新曲をリリース。8月発表の『Pray for you 〜7月のelegie(エレジー、1番目と3番目のeにアキュート・アクセントがつく)』には、7月18日に亡くなった三浦春馬さんへの思いがこめられているそうだが……。

「7月はずっと豪雨で悲しい思いをしていて、この歌は全部その気持ちを書こうとしていたんですが、その月の半ばに春馬くんが亡くなられて。胸が石でつぶされたような気持ちになったんです。声も出ないくらいショックで、しばらく歌えないくらい。そのときはまだ、2番の歌詞はできていなかったけど、メロディーを口ずさんでいたら《美麗しい人ほど 何故 先に逝くの?》っていう歌詞が自然と出てきたんです」

 三浦さんとは、イベントで一緒になって話したり、食事をしたりすることもあった。

私もサーフィンが好きで、“一緒に行こうね”って約束していたんですが、何回も延期になって結局、実現してないんです。歌のことをいつも聞いてきてくれて、舞台の『キンキーブーツ』を見にいったときも“摩季さん、どうだった?”なんて聞かれて。“今日は苦しかったね、よく声出したね”“こうすると、もっと楽に声が出せるよ”なんてアドバイスをしました

 自身はコロナで気持ちがふさいだりはしなかったという。

「基本的に音楽オタクの引きこもりだから、私自身は全然、大丈夫でした。ただ、 “ダメ”って言われるとやりたくなる性格だから外にはすごく出たかったですけどね(笑)。でも、周りの方々ほど疲れてはいなかったと思います」