アパートの立ち退きを迫られて…

 そして立ち退きの際には、こんなひと幕があったそうだ。

「私が住んでいた江戸川橋周辺は町工場が多くて、私以外は立ち退きが完了していました。つまり、私のボロボロのアパートだけが残っていたんです。ある日突然、“立ち退きをしてくれないか”という交渉役の人が訪問してきたんですけど、そんな体験は初めてだったので、戸惑うばかりで。そのおじさんが、“20万円で立ち退いてくれないか”って言うんですけど、相場がわからないじゃないですか。

 すると、おじさんが私を見て“坂本ちゃん?”と気づいてくれた。こっちもキャラで交渉できるなと思って、 “生活できないわ~”と、ごねてみたら、すぐに“25万円でどう?”と金額が増えたんです(笑)」

 それなら、と思った坂本ちゃんは、

「私が所属する浅井企画にはコント55号さんという偉大な方がいらした事務所ですから、55号にかけて55万円でどうですか?」

 と、ギャグのつもりで言ったという。すると「ちょっと面白いですね」って話になって、55万円になった。

「ひとつネタができたわラッキー♪ と思って、55万円を受け取って立ち退きを承諾したんですけど、その話を周りにすると、“お前はバカか。最後に一軒残った立ち退きで55万円って安すぎるだろ!”って。私、小心者ですから、そんなに多くもらえるとは思ってもいなかったんですけど、考えてみたら最後の一軒ですもんねぇ。もっといただけましたよね~」

新宿ゴールデン街にあるシャンソンバー『ソワレ』で働く坂本ちゃん
新宿ゴールデン街にあるシャンソンバー『ソワレ』で働く坂本ちゃん
【写真】まるでアート作品! 坂本ちゃんが描いたお客さんの似顔絵

 ともあれ、立ち退き料を手にして引っ越した彼。今の家はというと、

「新しく引っ越した部屋もボロボロなんですけど、好きなものに囲まれて、絵を書いているだけで幸せです。芸人としてのお仕事も、もちろんいただきたいし、苦しいことにかわりはないのですが、そういう空間があるだけで幸せに思えるのはありがたいことですよね」

 天国も地獄も味わった坂本ちゃん。自分の“幸せ”を手に入れた今、次は2度目のブレイクに一直線!?


さかもとちゃん 1966年山梨県生まれ。'99年、お笑いコンビ「アルカリ三世」結成。'00年、34歳のときに出演した『進ぬ!電波少年』の企画「東大一直線」でブレイクし、日本大学文理学部など8校に合格して日本大学に入学。おネエキャラでも知られており、現在は新宿ゴールデン街のシャンソンバー「ソワレ」に週一出勤&個展を開催するなど精力的に活動中。

坂本ちゃん、岡元あつこ、荒木千恵の三人で、YouTubeチャンネル「熟女会議(仮)」を配信中。
「基本、エロい話しかしてませんので、もし興味がある方はアクセスしてみてくださ~い!  エロというのは誰も傷つきませんから。愛について語っている? いいえ、エロです。聴いてみて~♪」

《取材・文/我妻アヅ子》