ああ高橋祐馬(たかはし・ゆうま)/アニプレックス企画制作第一グループ(プロデューサー)。2004年アニプレックス入社。宣伝部に所属し11年間、宣伝プロデューサーとして『化物語』『Fate/Zero』『アイドルマスター』などを担当。2017年から制作部に異動し、プロデューサーとして『鬼滅の刃』『はたらく細胞』『君の膵臓をたべたい』などを手がける(撮影:尾形 文繁/東洋経済オンライン)
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 たとえば、鬼殺隊に入るための最終選別で戦った「手鬼(ておに)」。炭治郎が手鬼を倒した際に、その過去が走馬燈として描かれます。手鬼はまだ人間だった頃、夜になると怖くなって兄に手をつないでくれ、とせがむ幼い子どもでしたが、鬼にされたことで兄を食い殺してしまう。それでも「兄と手をつなぎたかった」という人間の頃の記憶から、手の造形をした鬼になったのではないかと想像されます。

「王道」と「新鋭」。この2つの要素が見事に掛け合わさって、この作品を魅力的にしています。そこで、すぐさまアニメ化の企画書を書いて版元である集英社に持っていったのが発端でした。

アニメ制作会社「ufotable」の魅力

――アニメでは、作画のすばらしさが話題になりました。アニメの制作を担当するのはufotable(ユーフォーテーブル)社。これまでもアニプレックスは『空の境界』や『Fate/stay night』といったヒット作でタッグを組んでいますが、その魅力とは。

 鬼滅の場合、ufotableに制作をお願いしたのは作品が持つ「明と暗」の暗の部分を描くことに長けたアニメ制作会社だと思ったから。「鬼」は夜にしか活動しません。闇夜での闘いを魅力的に描け、そのうえで初めて少年漫画らしい明るく面白い部分が引き立ちます。そのどちらも魅力的に描けるのが同社の魅力です。

――結果的に、アニメは大ヒット作になりました。生みの親としてどう受け止めていますか。

 鬼滅のアニメは、最初から人気だったわけでも突然人気が爆発したわけでもありません。放送を重ねる度に視聴者数が伸びて、公式ツイッターのフォロワーも少しずつ増えていきました。ファンの輪が徐々に増えていくことで、アニメをきっかけに鬼滅を知った人が、漫画の連載を読んで、面白さに気づいてコミックを買っていく――。そういう流れが生まれたのだと見ています。

 これまでのヒット作と異なる点があるとしたら、動画配信サービスでアニメを視聴するというスタイルがここ数年で視聴者の生活に根づいたことでしょうか。従来、アニメはテレビで放送されるものであり、放送を見逃したらDVDを探すしかありませんでした。ただ、鬼滅は、日本で提供されている動画配信サービスのほぼすべてで見ることができますから、「見たい」と思ったらすぐに見られる。アニプレックスのアニメ作品の中でも、ここまで配信先を広げているのは珍しいかもしれません。