その後も介護を続け、34歳で出場した'15年M-1グランプリの決勝前日にも夜勤のアルバイトをしていた。売れない芸人時代の働き口ならほかにもありそうだが……。

「生活できるだけのお給料はもらえたのと、急にオーディションが入ったりしても、その施設はわりと融通をきかせてくれたからという部分もあります。最近も、たまに顔を出したりしますよ。(自分たちが)有名になったことをみんな、めちゃくちゃ喜んでくれました。スケジュールがなかなか合いませんが、今でも人が足りなければ、ボランティアでもお手伝いにいきます

介護は「受け入れてもらう」ことが大切

 安藤さんの介護愛は深い。20〜23歳のときには、ひと晩につき15〜20軒ほど、鍵を預かっているお宅まで自分で車を運転し、おむつ交換や安否確認をしに回った。だが、やはり体力的には大変だったという。それでもなぜ、介護をし続けられたのか。

「訪問するお宅の中に、お手洗いに連れて行くことが日課の無口なおじいさんがいたんです。ある日、本当は勝手にするのはよくないのですが、チラシの切れ端で鶴を折って、お部屋に置いていきました。そうしたら次の週に、ご家族の方から“おじいちゃんが折ってくれました。こういうことをする人じゃなかったから、うれしかったです”という手紙と鶴が置いてあって。ものすごく感激しました。介護はしんどいかもしれませんが、普段の楽しさが少ないほうが、何かご褒美があったときに感情がひっくり返りやすいと思うんです。ずっといい環境にいると慣れてしまいますよね? お笑いのネタ作りと一緒で、大変さが大きいほど、(報われたときに)うれしいんです

 また、介護においては「受け入れてもらう」ことが大切だという。

「介護を受ける側にも絶対、緊張はあります。“自分はおむつ交換をしてもらわなければいけない。本当は自分で行きたいけれど……”という気持ちでいるはず。それに対して、どれだけ相手の緊張を取り払えるかが重要だと思っています。“本当は自分ひとりでトイレに行きたいな、でもお世話にならなきゃいけない。申し訳ない”という気持ちにさせたくないんです。

 芸人で、同じく介護経験がある『EXIT』のりんたろー。君とかを見ていると前向きですよね。たぶん、りんたろー。君も、明るく介護をやっていたと思うんですよ。“全然いいっすよ〜”、“気にしちゃってる? 大丈夫ですよ”みたいな感じですかね。明るく楽しく接して、“この人になら別に、何をしても恥ずかしくないな”と思わせて安心してもらうのがいちばんいいと思います