友達同士での貸し借りはよくない

 一方で、自身の経験から大金を手にした人に、こんなアドバイスを送る。

大金を持つと怪しい寄付の話がたくさん届きますが、絶対にしちゃダメです。詐欺も多いし、本当に寄付が必要なケースでも“こんな簡単に大金が手に入るんだ”と、その人の人生を壊すことになります。僕自身も手紙が届いたもので何件か寄付してしまったけど、ほんま後悔しています。

 あと同級生にもお金を貸したのですが、お金を貸した人から疎遠になるんですよね。返すまで合わせる顔がない……ということだとは思いますが、“友達同士の金の貸し借りはよくない”という言葉の意味を身を持って実感しましたね

 現在は“週8でバスケをする芸人”と言われるほど、バスケットボール関連の仕事が増えている田村。

「僕自身がバスケを通じて友情を深めたり、チームワークの大切さを学んだし、こんな面白いスポーツはないと思うので、魅力を伝えていきたいなと。相方が番組でバスケばかりしているとイジってくれたおかげで、今では取材の8割はバスケ関連です。YouTubeを始めたのも、魅力的な選手がたくさんいるというのを伝えたいから。僕の力不足で再生回数が伸び悩んでいるので、まずはチャンネル登録者数などを増やして、魅力を発信していけたらいいですね」

 改めて『ホームレス中学生』のことについて聞くと、こんな言葉が返ってきた。

「芸能生活という点では必要のなかったドーピングだったかなと。コンビでジワジワ頑張っていたところ、『ホームレス中学生』というドーピングによって、一気に実力以上の場所に行ってしまい、その反動で僕は落ちてしまったので。あれがなければ芸人としてまた違った結果になったのかなという気もします。でも貧しいながらも腐らずに僕を育ててくれた家族や『ホームレス』バブルの中で嫌な思いもしたはずなのに、文句も言わず支えてくれた相方には感謝しかないですね

『ホームレス中学生』(ワニブックス)著=麒麟・田村裕 ※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします
【写真】田村を演じた小池徹平と田村の兄を演じたキンコン・西野亮廣