2010年代になると、いよいよあの人が登場する。いまや「ご意見番」とまで呼ばれ始めた高嶋ちさ子だ。

 本業はバイオリニストだが、勉強とゲームについての約束を破った息子に対する「ゲーム機バキバキ」事件で時の人に長嶋一茂や石原良純のような年上の有名セレブ相手にも物怖じせずにずけずけ言う姿がウケて、3人でトーク番組『ザワつく!金曜日』(テレビ朝日系)を持つまでになった。

 そこには自分もまた、いっぱしの者だという自信がプラスに働いているのだろう。本業での成功に加え、それなりの美人だし、父はビートルズを日本に紹介したことで知られる音楽ディレクター。夫も名家の出身で、高嶋政宏・高嶋政伸兄弟はいとこにあたる。

 それゆえ、毒舌を吐かなくても生きていけるということか、今年の元日には「他人、身内への八つ当たりを減らしたいと思います」と、インスタグラムで宣言。ただ、そのイメージは揺るがないだろう。

 というのも、最近の彼女は『ザワつく!金曜日』でもそんなに毒舌を発しない。一茂や良純にしゃべらせるだけしゃべらせておき、無言でにらみをきかすことにより笑いをとっている。昔の剣豪が構えだけで相手を威圧したように、もはや名人の域なのだ。まさに、唯一無二の第6世代である。

 ちなみに、ちさ子は50代だが、少し下の年代にも小池栄子のような「ご意見番」候補がいる。宮迫博之が不倫騒動を起こしたときには、本人を前に、

「しょうもないコメントをしてるなと思いながら見てましたよ。だって期待するじゃないですか、どういう弁明するんだろうって」

 と切り捨て、話題になった。

毒舌界の“第7世代”が台頭

 さらに最近、目立つのは、もっと若い芸能人の毒舌ぶり。そのタイプもさまざまだ。大野智の年齢(当時34歳)について「もうちょっと上だと思ってた。40歳くらい?」と口走り、嵐ファンを怒らせた広瀬すずのような天然系に、テレビ朝日の弘中綾香アナのようなあざと可愛い系、ファーストサマーウイカのようなネオヤンキー系、そしてハーフや帰国子女といった「日本人ばなれ系」など、いわば第7世代である。

 彼女たちは上の世代とはうまくやっているし、可愛がられてもいる。例えば先日、結婚で話題になった河北麻友子はデヴィ夫人のお気に入りだ。アメリカ育ちの帰国子女で本音丸出しなところが、海外生活の経験豊富な夫人にとって親しみが持てるのかもしれない。

『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)では、河北に対し「爪ようじ」「ぺチャパイ」などの昭和っぽい体形いじりをしつつも「あなた、最高の秘書になれるわ」と絶賛。アメとムチを使い分けながら、うまく手なずけている。

 思えば、第1世代の夫人が何度となく舌禍騒動を起こしながらもここまで生き残れているのは、こうしたバランス感覚の賜物でもある。

 毒舌こそ、バランスが大事なのだ。それゆえ、毒舌の世界は深い。