「女遊びは芸の肥やし」を唯一継承

「女遊びは芸の肥やし」という価値観がいいか悪いかは置いておいて、確かに昭和から平成前期にかけては、芸人は派手に女遊びをしてナンボ、たくさんの女性を抱いてこそ一人前という風潮があったのは事実でしょう。

 けれど平成後期から急激に価値観の変革が進み、かつては破天荒であることが許されていた芸人たちにも、令和となった今では清廉潔白が求められる社会が構築されているのはご存じのとおり。それはアンジャッシュ・渡部建(48)が不倫騒動を起こし、芸能生命が瀕死状態であることが象徴しています。

 筆者は「女遊びは芸の肥やし」という価値観を支持しているわけではないですし、今でも女遊びの激しさを公言している西野を肯定しているわけでもありません。

 しかし、近年はあまり“芸人”として扱われなくなってきた西野が、実はもっとも往年の芸人魂を継承しているように見える、ということです。

 余談ですが西野はショートスリーパーであることも有名。かなり多忙であろう彼がどうやって頻繁に女遊びをしているのかと不思議に思うかもしれませんが、彼は芸能界に入って以来、睡眠時間2~3時間の生活を今でも続けているそうです。平均睡眠時間が7時間程度の人よりも1日4時間以上も活動時間が得られていることを考えれば、納得でしょう。

(芸人は女遊びを)全員ヤッてたじゃないですか

 この発言は笑いに昇華されていましたが、「芸人ならもっと遊ぼうや」という西野の渾身の訴えだったようにも感じます。

 吉本興業を退社したことで、芸人・西野亮廣の姿を目にする機会はさらに少なくなりそうです。実際、彼が今後、人生の時間を費やしていくのは、芸人としての仕事ではなく、実業家としての仕事がメインになるのでしょう。

 しかし、彼の根底にあるのは人々を楽しませたい・喜ばせたいという欲求であり、それは芸人の原点と同じであるはず。破天荒で今でも女遊びにお盛んな西野の生き様こそ、最も芸人然としているのかもしれません。

PROFILE●堺屋 大地(さかいや だいち)●恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー、恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』(扶桑社)、『スゴ得』(docomo)、『IN LIFE』(楽天)などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』(文藝春秋)、『日刊SPA!』(扶桑社)、『Business Journal』(サイゾー)などに寄稿している。LINE公式サービス『トークCARE』では、恋愛カウンセラーとして年間1000件以上の相談を受けている(2018年6月度/カウンセラー1位)。