免疫細胞が暴走する“サイトカインストーム”

 原因として考えられるのは“自己抗体による攻撃の影響”だという。

 東京脳神経センターの天野惠市医師が解説する。

「コロナに感染すると、白血球などの免疫細胞から分泌される“サイトカイン”というタンパク質が外敵を攻撃するために放出されます。ウイルスの量が多いほど免疫細胞はサイトカインを大量に出して、ウイルスと戦闘状態になります」

 問題なのはサイトカインを大量に分泌し続けると、免疫細胞が暴走し、分泌量のコントロールができなくなってしまう“サイトカインストーム”に陥ること。

 そうなれば症状は悪化、多臓器不全になる危険性もある。

コロナ感染後、血管で何が起きているのか
コロナ感染後、血管で何が起きているのか
【写真】コロナ感染後、血管がボロボロになってしまうワケ

 コロナが回復しても、体内の細胞が受けたダメージは深刻なものとなっていることが推測されるという。

 1度傷ついた細胞のダメージはそう簡単に回復しない。倦怠感などの症状が続くとみられている。

 さらにコロナとサイトカインストームは細胞だけでなく、健康な血管にもダメージを与えてしまう。

 まず、コロナが血管の内側にある膜(内皮)を傷つける。するとその傷をふさごうとして、血管内に傷を凝固する血小板が集まってくる。

コロナが原因の脳卒中や心筋梗塞

 前述のサイトカインは血小板にも影響するために、傷の修復活動は活発になる。しかし、ウイルスの量が多いと、血管内でもサイトカインストームが起きる。

 血管内の細胞が傷を修復しようとして血小板が集まり、凝固した血小板が原因で一気に大量の血栓ができてしまうのだ。

 これは動脈硬化によって血管内に血栓ができるのと同じ現象。つまり、コロナによって脳卒中や心筋梗塞を引き起こす可能性がある。

 この現象は動脈と静脈で同時に発生。そうなれば身体中で血栓が作られてしまう。

新型コロナでできる血栓の場所とその症状
新型コロナでできる血栓の場所とその症状

「コロナで重症化した人の30%が『血栓症』と呼ばれるこの症状になっています。大量の血栓が血液中を漂い、脳に近い動脈で血栓ができれば脳梗塞に、心臓に近ければ心筋梗塞につながります」

 足の静脈にできた血栓が肺の静脈をふさげば肺血栓塞栓症による呼吸困難や胸痛を引き起こす。これはエコノミークラス症候群で起きることがコロナの重症例で見られる。

「コロナが原因で肺炎が起き、肺機能が低下します。その状態で血栓が肺の血管をふさいでしまうと命に関わる状況が起きます」

 サイトカインストームは高齢者や基礎疾患のある人に起きやすいといわれている。

 コロナの重症化や突然死を招くだけでなく、重大な後遺症も残すのだ。一命はとりとめても血管は傷つき、血栓も血液中に漂っている状態。傷ついた血管は動脈硬化で起きる血管の内部に似た状態になっている。それにより脳出血を起こし、脳梗塞を併発するリスクは高まる。