同じく「ハピママ」のスタッフのひとり、平良美里さんも、元キャバクラ嬢だ。長男(6)と次男(4)の子ども2人がいる。

 シングルマザーになったのは次男が生まれたころ。当時の夫が家に帰らなくなったのだ。不倫が原因だった。現在は離婚が成立している。

(不倫は)私が臨月のときからだったようです。当時は働いていなくて、お金がなかったんです。どうしようと焦っていたときに、フードバンクを頼りました。(頼れる場所ができて)気持ちとしてもラクになりました

食料支援の日、平良さんは訪れる母子に話しかけ丁寧な対応をしていた
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【写真】「給付金が必要」シンママ家庭の小学生が困窮をツイート

 2度目の宣言が出るまではキャバクラで働いていたが、店が休業となったために、現在は無職に。元夫からの養育費はもらっていない。

元夫とは音信不通です。お金の話をする機会もありません。子どもと会いたいのかどうかさえ、わかりません

 平良さんはこれまでの貯金を切り崩して生活をしている。両親からの援助はない。そんな中、4月から長男は小学生になる。入学準備の説明会がコロナ禍で延期となり、どのくらい費用がかかるのかわかっていない。

就労支援と給付金を組み合わせた支援を

 コロナ禍でシングルマザー世帯への影響は深刻だ。「労働政策研究・研修機構」の調査によれば、「失業者・休業者」の割合は、’20年5月末時点で男性が4・2%、女性は9・1%。とりわけ影響が大きいのはシングルマザーで、子育て中の女性の11・5%に対し、母子だけの世帯は13・6%にのぼる。

 職業別に見ると、「宿泊・飲食」の打撃が大きい。就業者は7・5%減少した。つまりは、テレワークができない飲食業で、かつシングルマザー世帯の経済的ダメージが大きいと言える。

 一般社団法人『ひとり親支援協会』の調査でも、コロナ感染拡大により、ひとり親の73%が減収したと回答。この調査対象が、居酒屋などの飲食店で働くひとり親という前提だが、

緊急事態宣言を受けて、仕事やシフトが減らされているのが現状で、生活が逼迫しています。現行の支援制度は借り入れのため、いつかは返済をしないといけません。ハードルが高いので、給付金の支給をお願いしたい

 と、今井智洋代表理事。さらに、「現行制度への容易なアクセスと、新たな給付金の支給、就労支援を合わせた取り組みが必要」と提言する。

 冒頭の美奈代さんには迷いがある。

「今後、宣言が解除されてもしばらくは、お客さんは戻ってこないと思います。でも、朝や昼の営業のキャバクラは盛況という話も聞きます。転職がうまくいかないので、朝キャバや昼キャバで働くことも考えないといけないですよね……」

 感染源として「夜の街」が名指しされ、時短要請も行われた。そこで働くシングルマザーの窮状は見過ごされやすい。相談のハードルを下げ、当事者へのサポートを届ける必要がある。