【インタビュー】
『銭天堂』店主、紅子の声を演じる
池谷のぶえが語る作品の魅力――

得体の知れない存在感“ござんす”が助けに

「物語の内容は、リアルで怖さもあって怪しい世界観ですが、絵柄はかわいらしい雰囲気もあってポップ。新しい感覚のアニメと感じています。

 原作は、先々の話まではあえて読まないようにしているんです。ですから(アニメ)収録の場で新しい展開を知ることが多くて、収録を毎回楽しみにしているんです(笑)」

 紅子は、白髪だがハリのある肌艶や容姿など年齢不詳で謎めいている。役どころの魅力は?

「いったい何歳で、この世にいそうな気もするし、いないような気もする。はっきりわからないことが多くて、想像を持ち続けられるキャラクター。得体の知れない存在感が面白いと思います」

 本作で本格的な声優に初挑戦した。

アニメの映像に声を合わせる作業が独特で、最初はどうしたらいいのかわかりませんでした。声で演技をすることにも慣れていなくて、舞台出身のためオーバーにやりたくなっちゃうけど、そこはキャラクターがあるので抑えつつ加減を調整するのが難しかったです。

 最初は自信がありませんでしたが、スタッフのみなさんのお力もあって、放送でできあがった紅子さんを見たときは“案外、上手じゃない!”と思いました(笑)」

 紅子の語尾“~でござんす”は特徴的。

“ござんす”には、不思議な違和感があって、紅子さんや銭天堂の異世界の雰囲気をうまく表現できるセリフで、演じるときに助けられています」

普遍的で心に響く内容とネーミングも魅力的

 子どもだけでなく、大人もハマるわけは?

「普遍的なことをひとつずつ丁寧に描いていると思います。大人の主人公もいて、見ている子どもにこんな事情がわかるのかしら? と思うものもありますが、子どもにとっては大人の世界が気になり、大人は自分を省みたりできる。

 ピアノの練習が嫌いな男の子が“ミュージックスナック”という駄菓子を食べると演奏が上手になるけれど、結局は練習しないと意味がないんだという話は、私自身にもとても響きました。私もセリフを苦労せずに覚えられたらいいなと思うし、“ミュージックスナック”があったら食べたいです(笑)。(物語を通して)大人になってもクリアできていない悩みや思いに気づいたり、駄菓子のネーミングも含めて魅力的だと思います」

意外性と発見だらけの今後が楽しみ

「(これまで)紅子さんは銭天堂で駄菓子を売るだけだったんですが、(新作では)店の外へ出て走って、さんまの安売りに出かけたりしていて驚きました。ほかにも突然ワープ移動したりします。こんなことまでできるの? と意外性と発見だらけで今後もどうなるのか楽しみです」