「ビッグフライ! オオタニスゥアン!」

 米・大リーグで本塁打王争いの最前線に立つエンゼルスの大谷翔平投手。打って投げてとその勢いはとどまることを知らない。規格外の能力はメディアでも「野球マンガのキャラクター」と形容されているほどである。

 その非現実ぶりはプレーに限ったことではなく、“内面”にも同じことがいえよう。甘いルックスでありながら野球一筋、高みに到達するために日々たゆまぬ自己研鑽を続けるストイックぶり。かと思えば、チームメイトからも愛され、ファンにも神対応をみせる。そして、絶対にモテるはずなのに浮いた話は聞こえてこない。つまり、マンガの人なのだ。

 彼の成績が上向きになればなるほど、世間から聞こえてくるのは「大谷は誰と結婚するのか」の声である。ことプロ野球選手にはさまざまな面で妻のサポートが必要だと考えられているというのもあるだろう──。

栗山監督の“束縛”

《たぶん、積極的にアプローチします。相手の出方を待ったりするタイプではないです》

 これは、女性誌『anan(アンアン)』のインタビューで“女性を好きになったら”と問われたときに大谷が出した回答だ。

「積極的にアプローチする」としながらも、これまで決定的な熱愛報道はなかった。野球に打ち込みすぎて恋愛などしている暇がないのかもしれないが、理由はほかにもあったと考えられそうだ。それは、周囲が彼に干渉しすぎていたこと。色恋で道を踏み外さないようにと、とことん神経を尖らせてきた経緯がみてとれる。

 プロ1年目からメジャーに旅立つまで、“親代わり”として育ててきた日本ハムの栗山英樹監督は、“二刀流”ゆえにケアも2倍必要な大谷に対して特別な制限を設けていたと明かしている。

《外出する時には、誰と行くのか、全部教えろ、と。特に北海道は、少し活躍するとすぐにスター扱いされてしまう。つい「ちょっとススキノ行くぞ!」となりがちなんです。(中略)外出相手をすべて僕に報告となればみんな誘いにくくなる。僕に誰とどこに行っているか把握されているので、相手も翔平に門限を破らせにくくなるんです》(『週刊新潮』2018年)

 目を丸くするような過保護ぶりというか、もはや束縛に近いものすら感じる。チームメイトとの関係がこじれなかったか心配になるくらいだ。遊び盛りのヤンチャ選手ならグレてしまいそうなものだが、大谷は違った。本人がインタビューで発していた一流の自制心を引用したい。

《べつにディスコに行ってみようかなとか思わないです。(中略)こうやってチヤホヤされる世界ですし、王様になったら終わりの世界なんで、なかなか体験できないですよね》(『カドカワ』2017年)