(4)パリピ酒

(写真提供:早稲田大学3年 斎藤龍星さん/東洋経済オンライン)
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 お酒やエナジードリンク、冷凍フルーツなどをバケツに入れ、混ぜて作ったお酒。エナジードリンクとストロング缶で作るのが主流であるが、缶チューハイ同士など混ぜるお酒は自由である。海外のホームパーティーで流行したものがSNSを通じて日本にやって来た。

 日本では地雷系やホスト狂と呼ばれる若者を中心に流行した。その後、コロナによる飲食店の営業時間の短縮で、夜遅くまでお店で飲むことができなくなった大学生がコンビニで材料調達をし、中には公園で作るという大胆な若者まで登場、広く流行するようになった。

 高校生でもジュースを使って真似するケースがあり、実際に作る工程から動画を撮り、インスタやTikTokに投稿。友人との強い友情をアピールする効果も狙える。

 以上、さまざまな「豪快シェア」のトレンドについて取り上げた。

 近年の若者たちは、お洒落な場所や食べ物によってインスタ映えを狙っていた。一方、今の若者はお洒落なコンテンツではなく、多少下品でも豪快に楽しんでいる様子の投稿でインスタ映えを狙う傾向がある。

 ウィズコロナの生活が続く中、引き続き若者から「豪快シェア」を超える、新たなコンテンツが生まれてくるのではないだろうか。

原田の総評:「おひとりさま」と真逆の発想を

 現役大学生の「豪快シェア」のレポートはいかがでしたでしょうか。

 Z世代の彼らは、従来のオシャレなインスタ映えに飽きています。また、SNSによって人間関係が広がったぶん、友人との絆を深めるニーズが強くなっています。そうした彼らのニーズを満たすことができるものとしてこの「豪快シェア」が生まれたと考えられます。

 コロナ禍の中でのこうしたトレンドには批判も多くなると思いますが、コロナ禍により友人と大変会いにくくなったからこそ、今、まさにこうしたニーズが膨らんできている、とも言えるかもしれません。

 日本では今、一人暮らしを指す「単身世帯」が、すべての世帯の中で最も多い「超おひとりさま社会」になってきています。一方、こうしたZ世代の新しいニーズも見逃せません。さまざまな企業はこれらを把握し、彼らが友人と豪快にシェアしたくなる、単身世帯化とは真逆のボリューミーな食べ物・飲み物を彼らに提供する発想を持ってもよいかもしれません。


原田 曜平(はらだ ようへい)Yohei Harada マーケティングアナリスト
1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』などがある。YouTubeはこちら