LINEで相談、スマホで安心つながる

 いざ面と向かって相談するのは勇気がいるし、できれば今すぐにでも答えがほしい。そんなニーズに応えるのが、NPO法人ラサーナ(群馬県高崎市)の「若者たちのための街の保健室」で行っているLINE相談だ。

 ラサーナは同市内にある産婦人科・舘出張佐藤病院の外郭団体。ラサーナの理事長で、同病院の福田小百合さんを中心に昨年8月からスタートした取り組みだ。

「友人関係の悩みなど、思春期保健相談士として回答できる範囲は私が回答。医療の知識が必要な相談は連携する佐藤病院の産婦人科医や助産師に共有して回答をもらいます」

 対象は群馬県内の20歳ぐらいまでの男女。「SNSで知った」という県外の方からの相談もあるという。

 相談内容は、半数が身体や生理のこと。次いで友人・家族関係、将来の悩みなどだ。相談受け付けは22時までだが、深夜1時や2時ごろに相談が入ることも多いという。

 LINEは気軽に相談しやしやすいメリットもある一方、顔が見えないやりとりゆえの難しさもある。

「まずは話をよく聞くようにしています。短い文章でバラバラに相談内容が送られてくることもあるので『これはこういうことですか』と確認しながら返信しています。また、上から目線の指導にならないよう目線を合わせて答えるようにしています」

深夜にも相談続々と、男子からの悩みごとも

 現在の友だち登録者数は約130人で、男女比は3:7。

「たいていの子は疑問が解決すれば『ありがとうございました』で話が終わってしまいますが、中には継続的に利用している子もいて、1人で500チャット以上やりとりすることも。友人関係の悩みは特に長くなりがちですが、『そう言ってもらえて安心しました』『そういうふうに考えればいいんですね』とお返事をもらえます」

 女子以上に相談する場所がない男子からの相談も寄せられる。マスターベーションや性に関することが多いという。

「思春期はセックスに興味を持つ年ごろですが、“こんなことを考えてしまう自分はおかしいのかな”と思い悩む必要はありません。相談者の男の子には『自分も彼女のことも大切にしないといけないよね』と伝えるようにしています。男の子にこそ、正しい知識を持ってもらいたいですね」

 福田さんはLINE相談を通して子どもたちの置かれている危うさも実感している。

「女の子で身体の悩みをお母さんに相談できている子はやはり少ないですね。お母さんに知識がないということもありますが、そもそも共働きで忙しく、なかなかお子さんと向き合って話す時間がないのかなという印象です

 母世代・祖母世代も、今からでも正しい身体の知識を学ぶ機会を持つことが大切。

「それはご自身の健康にも直結しますし、次の世代の健康にも結びつきます。子どもさんからの悩みでご自身では回答できないようなことがあっても、“ユースクリニックっていうのがあるから、ここに行ってみるといいよ”と答えてあげられるお母さんやおばあちゃんになってほしいなと思います」

教えてくれたのは……NPO法人ラサーナ理事長 福田小百合さん●メンタルケア心理士、思春期保健相談士。佐藤病院グループ統括マネージャーとして女性の心身をサポートする業務に携わる。抗加齢の面からも産婦人科医と連携して予防医療に力を入れる。https://npo-lasana.org

(取材・文/堤美佳子)