「命より大切な食事会、パーティはございません」
「感染者数に一喜一憂しないでください。この数字は2週間前の結果です。私たちは2週間後の未来は変えることができます」 

 日本テレビの夕方のニュース番組で藤井貴彦アナウンサーが発信するメッセージは、連日多くの視聴者の心をとらえ、反響を呼んでいます。こうした報道姿勢が支持を集め、2020年には好きなアナウンサーランキングに27年目で初めてランクイン、3位となった藤井アナ。 

 彼の初の著書『伝える準備』では、日々実践している“思いが伝わる言葉のつくり方“を、豊富なエピソードとともに紹介しています。本稿では同書より一部を抜粋・編集しお届けします。

当記事は「東洋経済オンライン」(運営:東洋経済新報社)の提供記事です

本番中「ノート」に書き留めておくこと

 夕方のニュース番組が終わると、私のデスクに後輩たちが集まってくれます。そこに神社があったからとりあえずお参りする、という感覚に近いのでしょうか。

 もちろん、私にお参りしてもご利益はありません。ただ、その表情がきらきらしていたり、自分の放送に納得できず悔しそうだったり。せっかく集まってくれるので、こういう時こそ何か言葉を贈ってあげたいですよね。

 もちろん、下手なことは言えませんので、普段から後輩の仕事をしっかり観察して準備しておきます。具体的に私が準備しているのは「もし聞いてきたら、こんなことを言ってあげたい」というリストです。

 そのリストは、本番中のわずかな合間に手元のノートに書き留めていくのですが、最近は私がそのノートを取り出す動きを後輩が目ざとく見ていて、とってもやりにくい(笑)。なお、そのリストは後輩が聞いてこなければ、記録として残すだけです。