そもそも、芸能界に憧れたきっかけからして、中学時代に受けた「いじめ」だったりする。自殺も考えるほど悩んでいたとき、彼女はジュディマリの歌に励まされたのだという。

 また、前出の激太りにしても、デビュー直後に始めた自分磨きのためのダイエットの反動だった。'03年のエッセイ本では、グループのエースだった時期について《自信のあるなっちはいなかった》《もう毎日の自分を保つのに、せいいっぱいせいいっぱいで》などと振り返っているほどだ。

 実際、モー娘。が国民的グループに飛躍するのは、後藤真希が加入してからのこと。ダンスナンバー主体に快進撃を続けていくが、この路線変更についても「アベは踊りが得意じゃないんで」と消極的な発言をしていた。

 そんな葛藤を経て、グループ卒業後はソロアーティストに転向。しかし、1年後に盗作騒動が起きる。彼女がますます自信を失ったことは想像に難くない。

 ただ、これが芸能活動への謙虚さをもたらしたと考えられる。2011年にミュージカルで知り合った山崎に惹かれたのも、表現者として高く評価され始めた彼への尊敬が大きかったようだ。

 '15年の結婚時には「彼の人生を支えることができるよき妻であることを何よりも心がけ」たいと宣言。子どもも2人生まれ、内助の功に徹している印象である。

 もっとも、ここでまた勝ち組っぽさが強まると、世間のやっかみ感情も復活しそうだが──。表舞台への登場はほとんどないうえ、山崎が妻の話をまったく語らないことが幸いしている。出ない杭は打たれない、のだ。

 次の参院選にまた出馬することを表明した市井紗耶香などは、見習ってみてはどうだろう。

モーニング娘。はASAYANの成功を象徴するグループだった
PROFILE●宝泉 薫(ほうせん・かおる)●作家・芸能評論家。テレビ、映画、ダイエットなどをテーマに執筆。近著に『平成の死』(ベストセラーズ)、『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『あのアイドルがなぜヌードに』(文藝春秋)などがある。