「てっきり夫は浮気をしているものだと思っていました」

 東京都内在住の主婦、飯田美咲さん(仮名・30代)はこう言ってうなだれる。

「1年ほど前から夫(40代)の様子がおかしくなったんです。四六時中スマホを手放さなくなり、トイレや風呂場にまで持っていくんです。普段は温厚な性格なのに、あるとき子どもが遊び半分で夫のスマホを手にしたら、人が変わったように激怒して……」

 不信感が募った美咲さんがある日、夫が目を離したすきにスマホを見ると、なんと女性のスカート内を盗撮した写真が出てきたのだ。その数は、数百枚に及んだという。

「目の前が真っ暗になりました。問いただすと、最初こそ否定したものの夫は盗撮を認め、土下座しました。その場で画像は全削除させましたが、今でもその記憶は脳裏にこびりついています。夫は家事も育児も積極的に参加するし、仕事も順調です。盗撮さえしなければ、本当に“いい夫”だったのに……」

大卒のごく普通のサラリーマンが盗撮加害者

 盗撮被害が後を絶たない。

 今年4月には国会議事堂内のトイレで盗撮事件が発生。後日、経産省職員が逮捕された。8月にはあろうことか警察官も……。「紀州のドン・ファン」事件を担当していた和歌山県警捜査1課の巡査部長(当時35)は、事件の捜査で東京への出張中に女性をスマホで盗撮。気づいた女性ともみ合いになり転倒させてケガを負わせてしまった。巡査部長は書類送検されている。

「盗撮のニュースは連日のように報じられていますが、これらはあくまでも氷山の一角です。警視庁のデータでは、'10年の盗撮事件の検挙件数は1741件でしたが、'19年に3953件に。つまり10年で倍増しています。さらに被害者は撮られても気づかず、被害が届けられないため、実際の数はさらに多いと考えられます」

 そう語るのは、依存症治療に詳しい精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳さん。斉藤さんが勤める神奈川県鎌倉市にある大船榎本クリニックは、「性依存症」として盗撮や痴漢加害者の治療に長年取り組んできた。

「当クリニックで性依存症と診断された患者の内訳を見ると盗撮加害者は痴漢の次に多い。盗撮は“痴漢と並ぶ国内の2大性犯罪”と言っても過言ではない」(斉藤さん、以下同)

 同クリニックでは'06年5月から'20年3月にかけて、窃視障害(盗撮・のぞき)と診断された521人の患者に対する調査を実施。すると次のような加害者像が浮かび上がってきた。

盗撮加害者の職業(521人対象)

「加害者にもっとも多いのは『大卒のごく普通のサラリーマン』。また、配偶者がいる人が約5割を占めています」

 さらに驚くべきは、盗撮加害者が若年化していること。

「盗撮を始めた年齢は10~20代が全体の7割、平均21・8歳でした」

盗撮開始年齢は10~20代が約7割。年々低年齢化しているという

 冒頭の美咲さんの夫のように、普通の人の裏の顔が盗撮加害者というケースがほとんどなのだ。