“不謹慎狩り”の時代に

 反響を受けて陣内はツイッターで《ネタ終わりに、批判的なコメントが多かったなぁ。命の大切さを考え作ったけど。。人それぞれの考えかたがありますね。いい話で面白かったというコメントも沢山で良かった!》(2016年5月7日)との感想を残している。

過去に『ペットショップ』ネタで炎上した際につぶやかれた(陣内智則のツイッターより)
過去に『ペットショップ』ネタで炎上した際につぶやかれた(陣内智則のツイッターより)
【写真】過去に『ペットショップ』ネタで炎上した際に陣内が漏らしていた正直な感想

 当時の炎上もあってか、現在陣内のYouTubeにアップされている『ペットショップ』の動画(2021年7月24日公開)では、そのようなフレーズはカット。マイルドな言い回しに変更されていた。

今回の『郵便局』についてもテレビ業界内では“そこまで突っ込まれるか……”という声が出ていますね。あくまでコントのネタですから。陣内さんに悪意は全くないですし、不謹慎狩りの時代がネタの自由度を狭めているような気もします。地上波となると“フレーズやいい回しには気をつけろ”と重ね重ね言われているので、打ち合わせも綿密に行っているのですが……」(制作会社ディレクター)

 ここ数年、テレビ用に作られたコントが放送される流れも徐々に出てきている。チョコレートプラネット、霜降り明星、ハナコらが出演するコントを中心としたレギュラー番組『新しいカギ』(フジテレビ系)を中心に、10月にも期間限定で実力派コント師を起用した『東京03とスタア』(日本テレビ系)も放送されたが、前出の制作会社ディレクターはこう嘆く。

「かつてのテレビ黄金期は多くのコント番組がありましたよね。テレビ局員、および制作会社のスタッフのなかにはそういった番組に影響を受けて、“自分もいつかコント番組を担当したい”という人は少なくありません。ですが、現代ではコント番組はあまり視聴率が取れないという現状がありますし、何かとコントのネタで炎上ということが増えるのであれば、どんどんテレビコントは廃れてしまうことでしょう」

 笑いのツボは人によって違うというが、道徳のラインもひとそれぞれ。クリエイティブ業の難しさが出たかたちか──。