立体物を作る手触りに開眼

 子どものころから絵が好きで、美大を目指した。

「美術、図工以外の授業は大嫌いで、ゴッホになりたかった。美大に入ったら画家で食べていけると思っていたけど、入学したらすごい世界にきちゃったなと。絵がうまいから美大に入れたと思ったら“うまくてどうする”と先生に言われ、(僕より)絵がうまい人もいっぱいいる。芸術に対してネガティブになってお笑いを始めるようになりました」

 暗澹(あんたん)たる気持ちを救ってくれたのが粘土だった。

「粘土を使う授業で、作品がうまくできて絵が上手な同級生から一目置かれました。立体物を作るときの触り心地に開眼する感覚がありました」

 粘土との出会いによって多彩な道が開けた。

学生時代の油絵とか恥ずかしげもなく展示します。見に来てくれた子どもたちに“こんなもんか”と思ってもらえれば(笑)。美術館や絵に興味がなくても子どもの創作意欲をかき立てられるような、参加している気分になれる個展にしたいと思っています」

 “アーティスト”片桐仁の今昔をまるわかりできる。

『粘土道20周年記念 片桐仁創作大百科展』
11月20日(土)~12月19日(日)/東京ドームシティ Gallery AaMo(ギャラリー アーモ)/11:00~19:00(最終入館は閉館30分前)/前売り入場料:大人(高校生以上)1000円(当日1200円)、小・中学生600円(当日800円)、未就学児童無料 ※ワークショップは別途料金

初出:週刊女性2021年11月23日号/Web版は「fumufumu news」に掲載