同じ職場にいてほしいのは…

 ダントツでお断りしたいのはマリコだ。あまりのワーカホリックぶりに、科捜研はブラックな職場と化している。いや、人としては尊敬できるし、信頼できる。でも、膨大な押収品や証拠品の中から指紋や血痕、もっと微細な証拠を見つけるまで容赦なく残業や徹夜作業を強いるし、現場直行も強制される。

 所長の斉藤暁なんて、一度は過労でぶっ倒れたしね。でも、あのアルカイックスマイル&目力でじっと見つめられたら、誰が断れようか。刑事の蒲原君(石井一彰)までもが手足のようにこき使われとるし。

(写真左から)西田敏行、米倉涼子、生瀬勝久/'16年『ドクターX』打ち上げ
(写真左から)西田敏行、米倉涼子、生瀬勝久/'16年『ドクターX』打ち上げ
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 では未知子はどうか。自分が医療従事者だったら、的確な診断力と絶対に失敗しない腕前の医師がいてくれたらどんだけ助かることか。

 ただし、協調性はゼロ、雑用も残業も飲み会も一切しない。握手すらしない。口は悪いし、人の顔と名前を覚えず、無礼なふるまいも多々。

 それでも弱い立場の人を守る「仁」はある。医師(要潤)の失敗をなすり付けられ、首を切られそうになった看護師(今田美桜)を守ってあげたし。

 もっとも共に働きたいと思うのは、衛だ。誰が見てもクズで才覚のない共同経営者(戸次重幸)に長いことほだされていたのは汚点だが、基本的に社員の意見を聞くし、「ありがとう」や「ごめんなさい」を素直に口にできる社長だから。社員の危機(メンタル)を救いに来る頼もしさもあり、富裕層のわりにくだけていて偉ぶらないからね。

友達として一緒に飲みたいのは…

 外食をともにするなら「よく食べてよく飲む女」がいい。そういう意味では、未知子が一番気持ちいい。鯛焼きも嬉しそうに食べるし、肉ももりもり食べそうだし。派手で高そうな服を着てピンヒールでカツカツ歩き、クラブでがんがん踊りまくる未知子と同じ空気を楽しめるとは思えないが、銭湯で大開脚したり、卓球のお供ならばできそうだ。

 衛に関しては、随所に垣間見える育った環境の格差が気になる。どんなに性格がよくても、関西弁の返しが絶妙でも、ズレは大きいだろうなと思ってしまう。衛が悪意なしに発した何気ない言葉に、「住む世界が違う」と引け目を感じるかもしれず。「あんた、今のはめっちゃ感じ悪いよ! 金持ちの暴言だよ!」と言える関係を築けるかどうか。

 で、もっとも読めないのがマリコである。何が読めないって、時間である。四六時中、事件と鑑定が最優先のマリコは、たとえ約束していてもドタキャンどころか連絡すらよこさない感じがする。LINEもやってなさそうだし、やっていたとしても既読がつかないまま数日間もざらではないかと。

 ドラマや映画、ゴシップネタも一切通じなさそうなので、話が弾むとは思えず。でも、酒や漬物の酵母やら花粉やらグルタミン酸やらについて、熱く語るマリコを傍らで眺めていたい気もする。そういえば、案外コスプレ好きな一面もあるので、イベントやパーティーにはくじけずに誘ってみようと思う。

 逆に、我が家で家飲みに呼ぶなら誰がいいか。衛は高級なお土産を持ってきてくれそうだな。未知子は宴会そっちのけで猫と遊んでそうだし、マリコは「これは……鮮明、拡大化!」とかいって、部屋の埃や毛や汚れを凝視しそう。ルヴァンを用意しておこう。