副反応は1、2回目より軽い

「データ上では3回目の接種の副反応は1、2回目に比べると軽いという数字の裏付けが出ています。特に発熱があったという例は2回目の接種に比べて半数程度と大きく下がっていますね。理論上はワクチンを打つほど副反応は大きくなるはずなのですが、公表されているデータを総合的に見る限りでは、副反応は1、2回目までの範囲内か、それ以下程度に収まっている人が多いようです」

 接種後の副反応として、特に若年男性の間ではごくまれに心筋炎や心膜炎が疑われるケースもある。また、10代や20代の若年層は重症化のリスクが低いため、そもそもブースター接種が必要かという声も出ているが……。

「すでに2回接種している若年層の方にとっては、たしかに自分が3回目の接種をするメリットが薄いと感じる人もいるでしょう。ただし、自分が感染の媒介者にならないという意識は重要です。今回のアンケートでも“アレルギーがあり接種できない”といった意見があるように、打ちたくても打てない人もいます。また、若年層の人は“感染してもインフルエンザ程度ですむ”と思っていても、高齢者にとっては生死につながる場合もあるので、周りの人を守るために接種するという意義は十分にあると思います」

 接種をするとなるともちろん備えも必要だろう。3回目の接種にあたって注意しておくべきことはあるだろうか。

「基本的には2回目までの接種のときと同様の心構えがあるとよいかと思います。副反応に備えて飲料や食品、薬を準備しておいたり、接種の翌日や翌々日まで仕事や予定を調整しておいたりできれば安心ですね。また、症状が出てからアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬を服用するのは構いませんが、副反応の予防として事前に服用することは避けてください」

 今回のアンケートでは、医療従事者のなかでさえワクチン接種に対する不安や混乱があることが見えてきた。さまざまな意見や情報が錯綜するなか、どうやって意思決定をしていけばよいだろうか。

「周囲の不安に煽られないよう、正しい情報を得るようにすることが大前提。特にインターネット上には、匿名で発信される誤情報があまりにも多いと感じますし、専門家から見れば明らかに間違った情報もあふれています。そういったものを鵜呑みにせず、どちらかに偏った意見だけでなく反対意見もしっかりと聞いたうえで、最終的には自分で判断をすることが大切です」

 感染爆発の脅威を前に不安は尽きないが、せめて正しい判断をできるよう心がけたい。

教えてくれたのは……鈴木幹啓先生
すずきこどもクリニック(和歌山県新宮市)院長。株式会社やさしさ、株式会社オンラインドクター.com代表取締役。クリニックやオンラインで診療を行いつつ、YouTubeでの情報発信やオンライン診療ポータルアプリ「イシャチョク」の運営など幅広く活躍。

医師、看護師、薬剤師、助産師、理学療法士、作業療法士など、医療従事者を対象に週刊女性が独自のアンケートを実施(1月7日〜12日)。ワクチン接種の意向や副反応について、有効回答のあった323人の内容を以下にまとめた。

取材協力/あんどう内科クリニック、五反田駅前歯医者、医療法人社団すぎたファミリークリニック、すずきこどもクリニック、たけつな小児科クリニック、豊洲はるそらファミリークリニック、プリモ麻布十番クリニック、まさこメディカルクリニック(あいうえお順)。メディチョク、Freeasyでご回答いただいた医療従事者のみなさま、ご協力くださりありがとうございました。

<取材・文/吉信 武>