“あの名作”がウェブ漫画サイトの人気ランキングで1位に!

 ウェブ漫画では、“異世界転生もの”も非常に人気だ。現実世界からどこか別の異世界に行き、そこであれやこれやというストーリー。

「“転生もの”はウェブ漫画以前からありますが、昔は転生した異世界で何か経験して、スキルや人間力が上がって、元の世界に戻ってきて、実生活に活かすという作品が多かった。夫婦仲が悪くて、異世界で何かを学んで、元の世界に戻って夫婦仲を修復するなどです。

 しかしウェブ漫画以降の異世界ものは、戻ってこない、戻ってきたくもないというストーリーが多い。元の世界との恋人との仲は悪いまま、異世界でできた恋人と一緒にいたほうがいい。それで終わりというような」

 実は意外な過去の名作が、'20年に複数のウェブ漫画サイトの人気ランキングで1位を記録している。『静かなるドン』。連載スタートは'88年のこと……。

『静かなるドン』の、普段は冴えないサラリーマンだけど、しかし実は暴力団の総長という設定は転生ものともいえます。この時代にヒットするのは納得できますね

 悪役令嬢や異世界転生がウェブでウケる理由とは。

「ウェブ漫画は“不遇”なキャラが多い。読者も現実世界でさまざまな悩みを抱えていると思いますが、漫画のキャラの不遇さ、ネガティブな面に自分を重ねている面がある。現実世界の自分のネガティブな要素を肯定してくれる、共感を覚える。

 また、ストーリー展開として多いのですが、異世界に行った不遇なキャラは、そちらの世界で“無双”します。現実世界では不遇だったり、ネガティブだけど、それが異世界では功を奏す。

 これはネガティブな悩みを持つ読者にとっては“救済”と言えるでしょう。もしくは逆に“下”の人間として見下せる。ストーリーと共に、そういったキャラを見たいという面は少なからずあるでしょう」