動物にかかる大きなストレス

 移動式動物園は文字どおり、“本店”から別の場所に移動した簡易的な“支店”といえる。そのため次のような点も。

「屋外で行われることが多く、動物のための設備があるわけではない。そのため温度管理がなされていないことがほとんどです。また、係員などの注意するスタッフがそれぞれの展示スペースに常駐することはほぼなく、目が届いていないことが非常に多い」

 一般的な動物園であれば、動物たちはみな、オリや水槽などに入れられている。状況として“人に触られ続ける”といったことにはならない。ずっと隅で眠っていてきちんと見ることができないこともある。しかし……。

長時間、触られ続けるフクロウ(PEACE提供)
長時間、触られ続けるフクロウ(PEACE提供)
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「移動式動物園で展示される動物たちは、基本的に休憩時間もなく、身を隠したりする場所もありません。モルモットなどは、なるべく人間から遠いところ、手の届きにくいところにいようとするので、ずっと人の目、人の手にさらされ続けることは、習性からすれば考えられないことです」

 移動式の名のとおり、このような動物イベントは、普段暮らしている場所から現地にやってくる。

「輸送は動物に大きなストレスを与えますが、そもそもそれがあまり理解されておらず、動物たちは何十キロ、ときには数百キロの距離を輸送されてやってくることもあります。300キロほどの移動距離をしばしば運んでいた業者は、動物をぎゅうぎゅう詰めにして輸送していたことも判明しています。そしてまたとんぼ返りで戻されます。先日逮捕された『ふれあいねこ展』を開催していたイベント会社は、多数の猫を空輸していました。同社のふれあい展示は、幕張で短期のイベントが終わった直後に、猫たちを休ませることもなく、すぐ九州の会場まで空輸していたことがありました」

 ふれあうこと自体、人間にとってもリスクがあることも。