海老蔵が最も大切にしている“家族”

 歌舞伎の根底に流れている “女人禁制”という慣習。しかし海老蔵にとっては、単なるしがらみでしかないのかもしれない。

'17年に最愛の妻である小林麻央さんを亡くした海老蔵さんにとって、最も大切なのは家族。その一心で'20年4月には、これまで存在しなかった公演中の休演日を設けるなど“梨園の改革”を進めてきました。歌舞伎の舞台に女性が自由に立てるようにして、襲名以降もぼたんちゃんと共演を続けられる環境を整えたいと考えているようです」(前出・松竹関係者)

 松竹側も戸惑う大改革。襲名に関する思惑も相まって両者の溝は深まるばかりだ。

「海老蔵さんが歌舞伎の聖地である歌舞伎座での出演が極端に少ないことが報道されましたが、ぼたんちゃんと共演するためですよ。歌舞伎座以外ならルールも比較的緩いですからね」(前出・成田屋に近しい人)

 実際、'18年以降の毎年1月は家族そろって新橋演舞場に出演し続けている。

ぼたんちゃんが成長するにつれ、歌舞伎座に立つことは難しくなります。海老蔵さんとしては、歌舞伎座以外での襲名披露公演も視野に入れているのかもしれません。とはいえ、松竹としては女人禁制を解いたり、歌舞伎座以外で襲名公演を行うことは会社のメンツに関わりますからね。それぞれの希望に沿うような折衷案も作りづらいので、根深い問題ですよ」(同・成田屋に近しい人)

 海老蔵が歌舞伎座を避ける理由や、今後の襲名披露公演について松竹に問い合わせてみると、

歌舞伎座への出演は特段の事情や他意があるものではございません。機会が整えば歌舞伎座公演にも出演していただきたいと考えております。襲名の時期などは、当事者の意向はもちろん、各方面への調整や諸情勢を踏まえ多角的に検討をしております。発表できることがあれば、然るべき時期に公表させていただく所存です」とのことだった。

 海老蔵の“晴れの舞台”は、どこへ向かうのか─。