フラットな関係の“仲良しファミリー”なのか

 上述した三者面談で、木下氏と大維志くんは学校の門の前で待ち合わせをしたそうです。三者面談は12月ですから、寒い時期です。しかし、10分前になっても姿を見せないことから、木下氏は大維志くんに電話をしたそうですが、そのとき、まだ彼は家にいたそう。木下氏は「何考えてんだよ、この寒いのにお父さんを待たせて」と言ったそうですが、三者面談の重要性から考えると、一般的な第一声は「三者面談に遅れて、先生をお待たせしたらどうするんだ」ではないでしょうか。

大維志くんと並んで笑顔の木下氏(木下氏のインスタグラムより)
大維志くんと並んで笑顔の木下氏(木下氏のインスタグラムより)
【写真】トレードマークの笑顔が消え去り、険しい顔で街中を歩く木下氏

 ジャガーにも似たような部分が見受けられます。2021年9月19日配信のYouTube「ジャガー横田ファミリー切り抜き」で、一家は『週刊文春デジタル』によるパワハラ疑惑報道を振り返っています。当時、訪問診療をしていた木下氏は准看護師の男性と車で移動していたそうですが、木下氏は男性の車のドアの閉め方が気に入らなかったそうです。「そういう風に閉めたら耳がおかしくなるだろ、お前。考えろ」と指導、准看護師の男性は「はい」と謝ったそうですが、「『はい』って言ってるけどな、鼓膜敗れたらお前、金払えんのか? 医者の給料なんぼだと思ってるんだよ。お前、払えると思ってんのか慰謝料」と言ったという“暴言”の音声が流出したのでした。

 ジャガーは「現在、文春と裁判中なので細かくは言わない」としつつ、「うちの先生(木下氏のこと)は唯一の〇〇クリニックの医師だったんだから、先生の指導の下やるのは当たり前なんだよ」「これでムカついているのは、妻の私だから」と木下氏を支持しています。

 法律の専門家がどう判断するのかはわかりませんが、私の感覚では、ドアを閉める音がうるさかったとしても、「医者の給料なんぼだと思っているんだよ」というのは言い過ぎではないかと思います。「保健師助産師看護師法」は看護師は医師の指示のもとに医療行為を行えると定めていますから、仕事上の上下関係が生まれることもあるでしょう。しかし、それは「医師に何を言われても、指導だと思って耐えろ」ということとは違うと思います。

 三者面談のエピソードから、木下氏は「自分は常に敬われるべき」という価値観を持っているように見えますし、ジャガーも「医者は何をしてもいい」と解釈しているように感じられます。YouTubeでは、大維志くんが生意気を言い、ジャガーとケンカになり、木下氏がいさめることから、フラットな関係の仲良しファミリーに見えますが、その一方で、実はこの一家は序列がはっきりしていて、ジャガーと大維志くんは「医師である」お父さんには逆らえないのかもしれないと感じられるのです。

 大維志くんに話を戻しましょう。まだ受験のチャンスは残っていますし、今は勉強する方法も場所もたくさんありますから、決して悲観的になることはないと思います。SNSはメンタルヘルスの悪化を招くという調査結果もあります。何よりも自分のために、今は受験に集中してほしいと思わずにいられません。


<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」