目次
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ー 各サイトの“ガイドライン”にばらつき
Page 2
ー 評価基準が公表されない“ブラックボックス”
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ー グルメサイトを「信頼していない」が3割

「事実を書いただけなのに口コミが削除されてしまうのは、正直納得がいかない。飲食店に有利な口コミだけが残るとしたら、今後はもうグルメサイトを信用できません」

 強い口調で憤りを漏らすのは、都内在住の田崎洋子さん(30代・仮名)。昨年のクリスマスに起こった悲しい出来事を口コミとしてグルメサイトに投稿したところ、投稿が一方的に消されてしまったのだという。彼女が投稿したのは、次のような内容だ。

『数週間前からクリスマスディナーのコースを予約していました。当日、彼氏とふたりで楽しみにしながらお店に向かいましたが、席に案内されて10分待っても20分待ってもドリンクの注文を聞きに来てくれませんでした。そのまま1時間が経過しても、結局何も出てこないまま……さすがにそれ以上は待てず、何も口にしないままお店を出ることにしました。年に1回の特別な日のディナーをこのお店に任せたのは失敗でした』

 そのお店はグルメサイトでは評価が高く、田崎さんもそれを鵜呑みにして予約をしたという。しかし、この日の店内ではほかの席の客からもクレームが飛び交っているような状況で、ピリピリとした雰囲気だったという。お店へクレームを伝えたいという気持ちもあったが、ほかの人が同様の悲しい思いをしないですむように、情報のひとつとして上記の口コミを投稿したと田崎さんは語る。

最初に投稿したのは『食べログ』でした。すると投稿から2日ほどたったあとに“口コミガイドラインに該当する内容となっており、勝手ながら下書き状態へ変更させていただきました。現状でのご投稿はお控えいただけますでしょうか”というメールが届き、口コミは非掲載の状態になりました。具体的には“実際にお食事された内容を具体的に記述してください”というガイドラインに触れるらしく、たしかに食事を口にしていない私の口コミは不適切だったのだなと納得しました」

各サイトの“ガイドライン”にばらつき

 各グルメサイトの対応はどうなのか。そのお店を予約した『一休.comレストラン』と普段使っている『Retty』、そしてグーグルマップの店舗口コミ欄にそれぞれ食べログと同じ内容を投稿したところ、Rettyでは『ガイドラインに反する』という理由で削除された一方、ほかのふたつは問題なく掲載されたままだった。

お店にとってマイナスの情報でも、利用者がお店を選ぶうえでは重要です。サイト上で評価がいいお店を予約しても、その情報が偏ったものだとしたら……今後そういうグルメサイトは使いにくいなと思いますね」(田崎さん)

 ネット上では田崎さんと似たような体験が散見される。そこで、メディア内での口コミの削除について、大手グルメサイトである『食べログ』『ホットペッパーグルメ』『一休.comレストラン』『Retty』『ぐるなび』を運営する5社にアンケート取材を行った。