目次
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ー 海外ではエイプリルフールネタで炎上も ー 企業と芸能人のエイプリルフールの違い
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ー エイプリルフールで免罪符を得たYoutuber ー 「リターンが少ない」禁止を通達する企業も

 今年ももうすぐやってくる『エイプリルフール』。企業や有名人がSNSなどでこぞってウソを投下することで、衆目を集めるのはおなじみの光景になりつつある。

 昨年も、自動車メーカー・ダイハツ工業が、自社の公式ツイッターに、軽自動車『ミラ モルモット』を発売すると投稿。「低燃費」、「経済性」といった謳い文句とともに、人気アニメ『PUI PUI モルカー』を意識したかのようなモルモットそのままのカワイイ車体が話題を呼び、7万を超えるリツイート数を記録した。

“モフッと乗ってトコトコ走る”姿がカワイイ!(公式ツイッターより)
“モフッと乗ってトコトコ走る”姿がカワイイ!(公式ツイッターより)

 また、ホンダは、「スーパーカブの製造方法初公開」と題し、畑にまいたカブの鍵からスーパーカブが育っていく過程を投稿し、こちらも2万を超えるリツイート数を弾き出した。ユーザーに愛着心や好感を抱いてもらえるよう、マーケティングの一環としてエイプリルフールを利用する─。そんな企業の思惑も働いて、エイプリルフールは春の風物詩になった。

海外ではエイプリルフールネタで炎上も

 このような“ネタ合戦”は、国外でも変わらない。ドイツの自動車メーカー大手フォルクスワーゲンは、新型電気自動車の発売に合わせ、アメリカ法人の社名を電圧単位であるボルトに由来する『ボルツワーゲン』に名義を変更すると発表。もちろん、エイプリルフールのネタだったのだが、その発表を受けてフォルクスワーゲンの株価は5%近く上昇(!!)。すぐさま、「エイプリルフールのネタで、社名もフォルクスワーゲンのまま」と釈明したが、SNS上で大顰蹙を買い、謝罪する事態にまで追い込まれた。

 まさしく「蹴る馬も乗り手次第」ならぬ、エイプリルフールも使い手次第。バズるネタもあれば、炎上に発展するネタもあるわけだが、ネットの炎上事情に明るいライターで、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏は、「フォルクスワーゲンしかり、ウソかホントかわからないような中途半端なウソは炎上しやすい」と指摘する。

「'17年にフィギュアスケート選手の安藤美姫さんが、自身のツイッターで“みなさん今まで応援ありがとうございました。スケートから離れようと思います。本当にありがとうございました”と引退を発表し、炎上した。後日、“ウソでした”と弁明されても、心配したり、労ったりしたファンからすると許せないでしょう」(中川さん、以下同)

 実は、同じ年に俳優の野村周平も、「芸能界を引退する」といったツイートを投下し、炎上している。

「“実はウソ”ですまないようなエイプリルフールのネタは、フェイクニュースになってしまう」

 と中川さんが語るように、笑えないウソともなれば当然アレルギー反応を起こす人は増え、炎上に発展する可能性は高くなる。

企業と芸能人のエイプリルフールの違い

「企業のエイプリルフールは、デザインを含め手の込んだものが多く、ひと目見てウソとわかるものが多い。一方、芸能人に顕著ですが、ブログやツイッターなどテキストだけの投稿はウソだとわかりづらく、混乱を招きやすいため炎上しがち」

 '12年には、NHK広報の公式ツイッターが、「本日、NHKと全ての民放が合併して国営放送になった」とつぶやき炎上。'13年には、福岡県古賀市の高原伸二市議(当時)が、「宝くじが当たったので、1000万円とバス2台を市に寄付した」というウソをブログに書き込み、厳重注意されている。また、'20年には元東方神起のキム・ジェジュンが、「コロナウイルスに感染しました」とインスタに投稿。「エイプリルフールの冗談」として削除したが、韓国で国民が国政に直接要望を出す国民請願にまで非難が発展する事態になった。

 反面、サブウェイは『猫サンド』と題し、観賞用として猫を挟んだサンドイッチを販売('21年)、ブラックサンダーを製造する有楽製菓は、『ブラックサンダーEats』と題し、1本(30円)から自宅へお届けするサービスを開始するといったネタを発表('20年)。いずれも見た目にも楽しく好評を得た。

サブウェイの“ウソ”でバズった「子猫サンド」と「ダブル猫サンド」
サブウェイの“ウソ”でバズった「子猫サンド」と「ダブル猫サンド」

「仮にテキストだけでウソをつくなら、不安にさせたり、モヤモヤさせたりしないこと。ほっこりさせるとかクスッとさせないといけない。ウイットに富んだセンスがない人はやらないほうが賢明」

 ここ日本において、エイプリルフールネタの先駆けは東京新聞だといわれている。'01年4月1日に東京新聞の『こちら特報部』がエイプリルフール連動広告を組み、以後、話題を集めるようになった。

「'00年代中期になると、WEBメディアを中心にくだらないエイプリルフールネタが流行り、ネット民だけで盛り上がるといった時代になります。その後、'09~'10年くらいから、企業がネットでの情報発信を重要視するようになったため、エイプリルフールに参入する企業も続出し、現在の土台を形成するようになる」

 東日本大震災が発生した'11年は自粛するケースが目立ったが、'12年以降はツイッターをはじめSNSが浸透することで、エイプリルフールネタは一般化。先述したようにSNSを介したテキストのみのネタも増え、炎上に発展するケースが散見されるようになる。また、

「企業のエイプリルフールネタを、ネットニュースが取り上げるといった風潮ができあがった。多額の宣伝費をかけずに、自社PRができるエイプリルフールは、企業としてもメリットがあります。有名人も、ブログのPV数が伸びる、ツイッターのリアクションが増えるわけですから、注目を集める絶好の機会としてとらえる。結果、ハロウィンのようなお祭り感が生まれ、現在に至っている